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医療・健康・介護のコラム

妊娠はゴールじゃない! 流産繰り返す「不育症」の女性も

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 妊活や不妊治療をしていると、とかく妊娠がゴールだと思い込みがちです。

 私も妊活真っ最中のころ、友人たちも妊娠を目指して一心不乱に頑張っていました。だから、ネットの掲示板に「妊娠判定が出た」という仲間の書き込みがあると、「すごい!」「いいなぁ」「うらやましい」「私も早く妊娠したいなー」と仲間の妊娠を祝う気持ちと、自分が妊娠できない寂しさや悲しさなどの様々な気持ちを抱えながらも、みんな「○○ちゃん、おめでとう」とお祝いのメッセージを連ねていました。

「おめでとう」と言えない 2回流産している女性の妊娠

 ところがある日。Tさんが「妊娠判定が出ました」と書き込みをしたのに、誰からも「おめでとう」のメッセージが入りません。1日待っても誰も反応しないので「おかしいな。みんな気づいていないのかな?」と思い、こっそり別のメンバーに尋ねてみると「Tさんね、流産しちゃうかもしれないの。だから、おめでとうってすぐに書けないんだと思う」という返信。私はびっくりして「えっ、どうして? なぜそんなことを思うの?」と尋ねると、Tさんは、もう2回も流産をしているのだと教えられ、驚きとショックを受けました。妊娠さえすれば万々歳だと思っていた私は、そのとき、初めて「不育症」というものを知りました。そしてTさんは、やはり流産してしまったのです……。

医療機関で確認された妊娠の約15%は流産との報告

 皆さんはご存じでしょうか。妊娠しても、元気な赤ちゃんを出産するまでに至らないケースは思いのほか多いことを。そのうち「流産」とは、妊娠22週より前に妊娠が終わってしまうことを言い、 医療機関で確認されている妊娠のうち、約15%は流産するとの報告もあります 。また、流産のうち8割以上が妊娠12週未満の早い時期に起こってしまいます。

 流産を2回以上繰り返した場合を「反復流産」、流産を3回以上繰り返した場合を「習慣流産」と言います。この反復流産や習慣流産に加えて、死産や早期新生児死亡を繰り返す場合を含めて「不育症」と定義されています。

※参考:https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-hoken/dl/fuikushou.pdf

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松本 亜樹子(まつもと・あきこ)
NPO法人Fineファウンダー・理事/国際コーチング連盟マスター認定コーチ

松本亜樹子(まつもと あきこ)

 長崎市生まれ。不妊経験をきっかけとしてNPO法人Fine(~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~)を立ち上げ、不妊の環境向上等の自助活動を行なっている。自身は法人の事業に従事しながら、人材育成トレーナー(米国Gallup社認定ストレングス・コーチ、アンガーマネジメントコンサルタント等)、研修講師として活動している。著書に『不妊治療のやめどき』(WAVE出版)など。
Official site:http://coacham.biz/

野曽原 誉枝(のそはら・やすえ)
NPO法人Fine理事長

 福島県郡山市出身。NECに管理職として勤務しながら6年の不妊治療を経て男児を出産。2013年からNPO法人Fineに参画。14年9月に同法人理事、22年9月に理事長に就任。自らの不妊治療と仕事の両立の実体験をもとに、企業の従業員向け講演や、自治体向けの啓発活動、プレコンセプションケア推進に力を入れている。自身は、法人の事業に従事しながら、産後ドゥーラとして産後ケア活動をしている。

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