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池江璃花子選手が診断を受けた白血病…「急性」と「慢性」の違いは?

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池江璃花子選手が診断を受けた白血病…「急性」と「慢性」の違いは?

白血病と診断を受けたことを明らかにした競泳女子の池江璃花子選手

 競泳女子の池江璃花子選手(18)(ルネサンス)が12日、自身のツイッターで、白血病と診断を受けたことを明らかにした。白血病はどのような病気だろうか。

白血病細胞が無限に増える

 

 血液中には、酸素を全身に運ぶ赤血球、病原体と闘う白血球、出血を止める血小板など様々な細胞が流れている。骨の中で元となる幹細胞が増殖、変化してこれらの細胞は生まれるが、どこかの過程で異常が発生して、がん化した細胞(白血病細胞)が無限に増えるのが白血病だ。発病の詳しい原因は分かっていない。

 厚生労働省が2019年1月に公表した全国調査では、16年に白血病と診断された人は延べ1万3789人で、15~19歳では191人だった。

速く進行する「急性」と、ゆっくり進行する「慢性」

 

 白血病は、週単位~月単位で速く進行する「急性」と、年単位でゆっくり進行する「慢性」と区分けされる。異常が起きる細胞の種類によっても「骨髄性」と「リンパ性」とに分けられる。

 急性の白血病では、息切れ、だるさ、発熱、関節の痛みなどの症状が出る。増えた白血病細胞が、正常な細胞ができるのを妨げたり、他の臓器を傷つけたりするほか、感染が起きるためだ。一方、慢性の白血病の初期ではほとんど症状はないが、進行するとだるさや寝汗などが表れる。

がん治療薬でがん細胞減らす 再発した場合、幹細胞移植も

 

 いずれも治療法は、がん治療薬の使用が主流となっている。

 急性では、数か月間の入院で、点滴の治療によって白血病細胞を顕微鏡で見ても分からない水準まで減らすことで治癒を目指す。白血病の種類によっては、その後も数年間、通院による治療を続けることもある。再発した場合、血液細胞のもとになる幹細胞を移植する方法も検討される。

 慢性では、服薬を長期間続ける治療となるケースが多い。これにより日常生活に戻ることも可能だ。

 若い人は薬が効きやすい種類の白血病を発症することが多く、生存率が高くなる傾向がある。国立がん研究センター中央病院の伊豆津宏二・血液腫瘍科長は「入院患者に対し、周囲の人は治療に専念できる環境を整えるといい。治療を経て社会に復帰した人には、本人の思いをくみながらサポートしていくことが大切だ」と話している。

 (米山粛彦 医療ネットワーク事務局)

 <白血病を発症したスポーツ選手>

・早川史哉(Jリーグ・アルビレックス新潟) 2011年U-17ワールドカップに日本代表として出場。16年に急性白血病と診断され、数年がかりでチームに復帰した。

・岩下修一(プロ野球・日本ハム打撃投手) オリックスで現役2年目だった01年、急性骨髄性白血病に。復帰し、06年まで現役でプレーした。

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