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地域ぐるみで認知症予防を……茨城・牛久で研究スタート

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脳のトレーニングのため、タブレット端末でクイズを解く高齢者たち

 運動や脳のトレーニングを楽しんでもらいながら、高齢者の認知症や活力低下の予防を目指す研究が1月下旬、茨城県牛久市で始まった。企業と研究者が連携し、筋肉を鍛える、クイズに答えるなどのメニューを用意。高齢者が好みのメニューを選んで、積極的に参加できるように工夫した。

 「『人生をカッコよく』プロジェクト」と銘打った研究は、認知症対策の普及を図る企業「知の啓発社」(茨城県)が厚生労働省の補助金を受けて主導。ネスレ日本(兵庫県)、ニッセイ情報テクノロジー(東京都)など6社が協力し、朝田隆・東京医科歯科大学特任教授が監修している。

 近年の研究で、運動は筋力や体力の低下を防ぎ、さらに認知症発症のリスクを下げることが分かってきた。脳トレーニングも認知機能の低下を抑えられると期待されている。ただ、健康教室で単一のメニューが用意されても、楽しめなければ高齢者は参加しなくなるという課題がある。

 今回、画面に映る講師の動きに合わせて高齢者がかかと上げなどの運動をする、タブレット端末で間違い探しや条件に合う図形の選択のゲームをするなど、計11種のメニューを研究チームは提供している。いずれも10~30分ほどででき、市内の集会所で実施してもらう。参加回数に応じてポイントがたまり、ポイントに応じてプレゼントが得られる。

説明会で「認知症の予備軍となっても、健康な状態に戻ることは可能」などと説明する朝田特任教授

 対象は牛久小学校周辺の約5000戸。研究チームは3月下旬までの2か月間で、高齢者計300人の参加を見込む。各メニューへの参加状況や利用のしやすさを調べるほか、参加した個人の利用データを蓄積し、認知機能や筋力の改善具合も分析する。

 研究の説明会が開かれた1月28日、高齢者たちがタブレット端末を手に取りクイズを体験した。市内の女性(74)は「面白い内容だった。こまめに参加し、認知症を防げるようにしたい」と話していた。

 研究チームは集会所に、認知症が心配な人やその家族を対象に、支援団体が相談に乗る部屋も設ける。希望に応じて医療機関や地域包括支援センターを紹介し、認知症の早期発見や支援開始につなげたい考えだ。

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