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スポーツDr.大関のケガを減らして笑顔を増やす

コラム

バックハンドで起きやすい「テニス肘」 料理、パソコンなど日常動作でも

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 大坂なおみ選手の全豪オープン優勝、胸が熱くなりましたね。日本はもちろんのこと、世界中が大坂選手に魅了されたのではないでしょうか。これを機にテニスを始める人もいるでしょう。また、テニスから遠ざかっていた人の中には、再びラケットを手にする人も出てきそうですね。ですが、その際は「テニス肘」に悩まされないよう、気を付けてください。

 社会人、テニス選手のケースです。

 3か月前、趣味でテニスを始めた主婦のPさんは、週に3回、練習と試合を合わせて毎回3時間ほどテニスをしています。最近は、バックハンドの練習も集中的に行っていましたが、徐々に右肘の痛みが出てきました。テニスの時だけでなく、重いバッグを持つ時にも痛みが出るようになってきました。

肘の外側が痛くなる

 スポーツの名前がついたけがや故障は色々とあります。以前紹介した「 野球肘 」や「 スキーヤーズサム 」もそうです。

 野球肘は、投球動作で肘に痛みが出るもの全体を指します。ですので、肘の内側に痛みが出る内側 上顆(じょうか) 障害や外側が痛くなる上腕骨小頭離断性骨軟骨炎といった病態も、野球が原因であれば野球肘とひとまとめにされます。それに対し、「テニス肘」と言う時は、肘の外側が痛くなる上腕骨外側上顆炎を主に指します。

 上腕骨の外側上顆は、手首や指を反らす筋肉の始まりの部位です(下図)。手首を反らす際、これらの筋肉が収縮し、外側上顆に負担がかかります。テニスのバックハンドでは、特にこの筋肉を使うため大きな負担が加わります。そして、この動作が繰り返され負担が過剰になると、痛みが生じます。ちなみに、手首や指を反らす筋肉とは、 長橈側手(ちょうとうそくしゅ)(こん)伸筋(しんきん)短橈側手(たんとうそくしゅ)(こん)伸筋(しんきん) 、総指伸筋などのことですが、あまり聞きなれない筋肉ですね。

ストレッチなど自己管理も大切

 痛みが続くようであれば、これらの筋肉を休ませることが第一です。そして、この筋肉をよくストレッチします。左の写真のように手の平を下にして、反対の手で中指を中心に引っぱりましょう。親指が下になるような位置で引っぱる(手関節の回内という動きです)と、より効果的です。また、上腕骨外側上顆から始まる筋肉をよくほぐしておくことも有効です(右)。これらのストレッチは、テニス肘の予防としても大切です。

 また、「ラケットを持った際、小指や薬指もしっかり使って握れているか」「ストローク時に踏み込む脚への重心移動が不十分になっていないか」「体幹や骨盤の回し方が不十分になっていないか」といったような、テニスの競技動作についてもチェックが必要です。

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Ozeki-7-pro

大関信武(おおぜき のぶたけ)

整形外科医・博士(医学)
一般社団法人日本スポーツ医学検定機構代表理事

1976年大阪府生まれ、兵庫県立川西緑台高校卒業。
2002年滋賀医科大学を卒業。2014年横浜市立大学大学院修了。横浜市立大学付属病院、横浜南共済病院、関東学院大学ラグビー部チームドクター、英国アバディーン大学研究員などを経て、2015年より東京医科歯科大学再生医療研究センター所属。現在、東京医科歯科大学付属病院スポーツ医学診療センター、八王子スポーツ整形外科などで診療。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。野球、空手、ラグビーなどを通じて、アキレス腱断裂、野球肘、肩関節脱臼、足関節靱帯損傷、骨折(鼻骨、手首、下腿)など自身が豊富なケガの経験を持つ。スポーツのケガを減らしたいとの思いで、2015年12月一般社団法人日本スポーツ医学検定機構を設立し、「 スポーツ医学検定 」を開催している。

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2件 のコメント

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AIと人生100年時代とスポーツと人材

寺田次郎 放射線科サッカー部スペイン代表

長期的視野に立った人生設計や働き方改革というものはなぜ必要かというと、急速に進歩するであろうAIやITを持った人間や国家との競争の想定のためです...

長期的視野に立った人生設計や働き方改革というものはなぜ必要かというと、急速に進歩するであろうAIやITを持った人間や国家との競争の想定のためです。
ただ、高校や大学のカリキュラムをこなしただけの人間しかいないグループでは、国際競争の中で国民も国家も生き残るのが難しいからです。
長く生きていると、家族や仕事がうまくいかないこともあるでしょう。
その中で、スポーツの快感やコミュニティはセーフティネットにもなりえます。
LGBT差別の解決策の一つでしょう。

高レベルでスポーツを続けたい一部のベテランは落ちるフィジカルを知恵で補うために自ら勉強をして高度人材が育ちます。
グラウンド内外での学びを融合させる能力がスポーツにはあるからです。
AIにはできません。

また、社会の主役が今後も人間であるので、機械より人間づてである方が望ましいことも多いですね。
選手からすれば、手術の件数よりも、眼に見えてスポーツのうまい選手の方が信頼できるでしょう。
人手不足の時に、ちょっと入って、巧かったら、信頼関係も生まれますよね。
そういうところから、繋がりも生まれるでしょう。
出来たら、怪我の時の時間の使い方や技術戦術的なアドバイスもできた方が良いですよね。

あるいは、故障や後遺症を抱えたままでのプレーや用具選択など市場も含めての可能性もあります。
テニス肘で治療効果が限定的でもテニスを諦めないで良い方策や道具があるといいですよね。

怪我や悩みを抱えた経験のあるベテランの医療関係者は大事ですし、アマチュアでも競技を続ける若者には可能性があります。
古い考えの人は理解に苦しむでしょうが、新たな付加価値を生み出せる可能性があります。
社会人スポーツや学生スポーツには様々な可能性があるということです。
医学部入試でも高齢者差別が問題になりましたが、住み分けも含めて、制度設計が進むといいと思います。

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違反報告

特定関節への過剰な負荷を軽減し長く楽しむ

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

プロやトップアマの選手は筋骨格が出来上がっていますが、子供や引退してからカムバックしている選手がそういうフォームでいきなりハードにやると特定の筋...

プロやトップアマの選手は筋骨格が出来上がっていますが、子供や引退してからカムバックしている選手がそういうフォームでいきなりハードにやると特定の筋肉や関節の負荷が大きくなって疲労骨折や関節炎を起こします。
プロでさえ、特定関節を酷使すれば損傷するのが実際です。

とはいえ、育成年代で実績を残さないといけない文化の流れで指導があります。
また、高校野球なんか、一生懸命、全力で、というのは見ていて気持ちいものではありますが、一方で、そういう観客の期待に応えるために、選手が無理や無駄なことをしていないか、今後見直していく必要があるでしょう。

18歳とか22歳まで、になると、やることを絞った方が運用や連携も含めて混乱が起きにくいですが、今後はやるスポーツの普及の意味も含めて、多彩なモーションや特徴の選手が増えるといいですね。(効き足だけでやる方が、サッカーも最初はやりやすいです。)

プロは狭き門ですが、プロを続けている選手はもっと一握りです。
常識外の筋骨格の強さを持ったプロ選手のトレーニングやハイライトシーンをどこまで参考にしていいのか、みんなで考えていく必要があります。

以前、今津先生のブログにも入れさせていただきましたが、例えばサッカーのキックは様々な場所で色んなバリエーションができます。
少しだけでも、反対足や違う蹴り方が使えると、怪我で使えない関節が出てきても誤魔化せますし、一回の練習での特定関節の負担を減らせます。
筋肉や関節の強さや運動神経の発達速度は個体差もありますので、楽しみながら逆手や逆足の動作を覚えていくと、生涯スポーツのやるスポーツももっと楽しめると思います。
また、脳神経を能動的に鍛えて、感動もあり、認知症予防にも効果があると思います。

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20141010-OYTEW62684/

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