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夫と腎臓とわたし~夫婦間腎移植を選んだ二人の物語

コラム

「ごめん、友達でいたい」と言われ続けた私…「8番目の人」を振り向かせたのは、むくんだ「ゾウ足」だった

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 中学1年生で慢性腎臓病を発症した私は、夫と出会うまで、好きな人と両おもいになるなんて奇跡だと思っていた。好きな人はいたし、まっすぐ気持ちを伝えてきたけれど、成就することはなかった。「ごめん、友達でいたい」と、どの人にもそう即答されたのだ。

 玉砕するたびに、心に誓う。「恋なんて二度とするもんか」。それでもまた誰かを好きになってしまう。しかし、七転び八起きの精神を忘れないでいると、良いこともある。夫は、8番目に好きになった男性だった。

中1で発症、悪化 私は貧乏くじを引いたのか

高校時代の私(中央)です

 中学1年生の健康診断で「潜血尿が出ている」とのアラートが出た。何かの間違いだと思った。健康と体力だけは自信があったからだ。小学6年生まで、雪の日でも半袖で過ごすようなタイプだったし、学校のマラソン大会で学年トップになったことは、私が語れる唯一の武勇伝だ。そもそも、なんの自覚症状もなかった。

 半信半疑で訪ねたのは、広島の自宅から徒歩数分の小さな診療所。待合室は高齢者ばかりで、どなたもひどく体調がすぐれない様子だった。12歳の子どもが来る場所じゃない。場違いだから、薬をもらってササッと帰ろうと思った。

 しかし、医師の表情は険しかった。「慢性腎臓病かな。(悪化すれば)いつかは透析になる」

 処方された薬を指示通りに服用したが、病気が良くなることはなかった。高校生になると、徐々に疲れやすくなり、むくみの症状が出た。地元の大きな病院に転院したのは、20歳を過ぎてから。そこで初めて腎生検という精密検査を受けることとなる。ついた診断名は「IgA腎症」。IgA腎症とは、アジアの中で最も多いとされる慢性腎炎だ。すぐに扁桃へんとう腺を摘出し、ステロイドのパルス療法を受けたが、寛解はできなかった。

 世界各国で行われているIgA腎症の予後に関する調査によると、IgA腎症と診断後、20年以内に末期腎不全に至る患者は3人に1人の割合だという。残り2人のうち1人は、悪化させず腎機能を維持できるし、もう1人は、なんと完治するそうだ。だとすれば、私は3人に1人の貧乏くじを引いたということだろうか……。

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もろずみ・はるか

医療コラムニスト
 1980年、福岡県生まれ。広告制作会社を経て2010年に独立。ブックライターとしても活動し、編集協力した書籍に『成約率98%の秘訣』(かんき出版)、『バカ力』(ポプラ社)など。中学1年生の時に慢性腎臓病を発症。18年3月、夫の腎臓を移植する手術を受けた。

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