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医療・健康・介護のニュース・解説
国民年金の繰り上げ受給
60歳から可能 減額は生涯
公的年金は老後の生活を支える役割を果たしています。このため、20歳から59歳の全員が加入する国民年金(基礎年金)をもらい始めるのは、原則として、65歳からになってからです。
しかし、人によって、健康状態や家計の事情は様々と言えます。「定年後、年金をもらうまでの間、生活できるだろうか」。こんな心配を抱える人も少なくはないでしょう。
こうした点を踏まえ、国民年金には、60~70歳の間で、年金をもらい始める時期を早めたり、遅らせたりできる仕組みがあります。
今回は、時期を早められる「繰り上げ受給」について説明します。この仕組みは60歳以降の希望の時点から受け取りを前倒しできる制度ですが、利用の際は、注意が必要です。
一つは、受け取る額が減ることです。1941年4月2日以降に生まれた人の場合、1か月早めるごとに0・5%ずつ減額されます。
例えば、国民年金の保険料を40年間すべて納めた人が、60歳ちょうどでもらい始めるとします。5年早めることになるので、30%(0・5%×60か月)の減額となります。65歳で年金をもらい始める場合の年金の満額は、現在、約6万5000円です。それが、月約4万5500円に減る計算になります。
また、一度、繰り上げ受給を開始すると、生涯にわたって、年金の受取額は減額されたままとなります。取り消したり、時期を変更したりすることもできません。
病気やケガなどで一定の障害を負った際に受けられる障害年金の受け取りに制約が生じることもあります。条件をよく確認してから、申請した方がよさそうです。
会社員などが加入する厚生年金も、同様に繰り上げることができます。国民年金の手続きも含めて、近くの年金事務所に相談してみてください。
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