子どもの健康を考える「子なび」
医療・健康・介護のコラム
食物アレルギー(2)アトピー性皮膚炎 発症も
このシリーズでは、国立病院機構相模原病院臨床研究センター副臨床研究センター長の海老沢元宏さん(58)に聞きます。(聞き手・矢沢寛茂)
小児期の食物アレルギーの多くは、1歳未満の乳児期に発症します。その中には、アトピー性皮膚炎を発症しているケースがあります。湿疹やかゆみがひどくなり、病院などで血液検査を受けた結果、卵や牛乳などへのアレルギーの陽性反応が見つかるということは珍しくありません。
アトピー性皮膚炎の赤ちゃんに対しては、一般的に十分なスキンケアとステロイド 軟膏 (塗り薬)で湿疹の改善を目指します。改善しなければ食物アレルギーの可能性を疑います。血液検査や、食べ物への反応を皮膚で確かめるテストで原因となる食べ物を推定し、赤ちゃんの食事から試験的に取り除きます。
まだ食べたことのない食物にアレルギーを起こすこともあります。意外かもしれませんが、症状と照らし合わせ、母親の食事との関連性が示されることもあります。湿疹が改善するなどの効果が認められれば、原因となる食べ物を食べてもらい、どの程度までなら反応が出ないかなどを確かめる「食物経口負荷試験」をします。試験では、食べた量や乳製品などの加工の状態、卵なら卵白と卵黄による違いなどまで細かく見極めます。
診断が確定すれば、最初は反応が出ない範囲で食べてもらいます。その後も負荷試験を重ねるなどして食べられる量を増やしていきます。母親の食事制限は、多くは短い間、限られた範囲ですみます。
医師によっては最初の血液検査で反応を示した食品を、「念のために」と食事から完全に除去するよう指導されることがあります。しかし、最近は、できるだけ食べられるものは食べてもらうという指導が、経過を良くすると考えられています。不安を和らげながら、前向きに取り組んでほしいと思います。
【略歴】
海老沢元宏(えびさわ・もとひろ)
小児科医、アレルギー専門医。東京慈恵医大卒。最新情報を発信する「食物アレルギー研究会」の世話人代表。
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