がんを語る
医療・健康・介護のコラム
乳がん(上)触ると梅干しのような塊・マンモで見つからず……「大丈夫」「頑張って」は言わないで
「がんを語る」の3回目は乳がん。女性のがんで最も多く、2018年に新たに乳がんと診断される人は約8万6500人と予測されています。患者は40歳代後半から50歳代前半に多く、仕事や子育てと重なり、苦労する人も多くいます。今回は、各患者会で活動する3人の方に加え、進行も乳がんを経験した記者が務め、率直な思いが語られました。
乳がん 主に、乳汁を運ぶ乳管から発生する「乳管がん」と、乳汁をつくる小葉から発生する「小葉がん」がある。見つかるきっかけは、マンモグラフィー(乳房エックス線撮影)などによる乳がん検診のほか、しこり、乳房のえくぼ、皮膚の変化、周辺のリンパ節の腫れなどの異常に本人が気づく場合もある。治療は手術が基本。しこりと周辺の組織を切除する乳房温存手術と、乳房全体を切除する全摘手術がある。本人の組織やシリコンなどを使って、新たな乳房を作る乳房再建術も広く行われている。13年に人工乳房による再建手術の保険適用が認められた。
参加者(敬称略)
星野 希代絵 (ほしの きよえ) |
「あけぼの静岡」代表 | 62歳 |
堀内 美保 (ほりうち みほ) |
聖マリアンナ乳がん体験者の会 「マリアリボン」共同代表 |
50歳 |
吉田 羊子 (よしだ ようこ) |
「京都乳がんピアサポートサロン ~fellows~」代表 |
68歳 |
進行役 | 読売新聞東京本社編集局生活部次長・本田麻由美 |
京都、静岡、神奈川で患者会活動
――簡単に自己紹介お願いします。
吉田 京都から来ました吉田です。08年の10月に右胸に乳がんが見つかり、同年11月から手術前の抗がん剤治療を始めました。09年5月に全摘手術を受けた後、放射線治療を受け、トリプルネガティブ(※)なので無治療で今に至っています。「京都乳がんピアサポートサロン ~fellows~」という患者会でピアサポートをしています。
星野 静岡の星野です。1999年の7月、43歳のときに県内の総合病院で右胸の全摘手術を受け、さらに抗がん剤治療、ホルモン治療とフルコースの治療を受けました。11年前から患者会「あけぼの静岡」の代表を務め、「あけぼのハウス」という患者さんの悩み相談もやっています。県が主体のピアカウンセラーの勉強会にも参加しています
堀内 東京都内の小売り関係に勤める堀内です。2011年10月に左胸にがんが見つかり、手術前の抗がん剤治療を受けて、ぎりぎりで温存手術を受けることができ、手術後に放射線治療も受けました。仕事と3人の子育てに追われ、一人で苦しんだ経験から、患者仲間で支え合おうと、仲間2人を誘って、治療を受けた聖マリアンナ医科大学病院(川崎市)内の乳がん体験者の会「マリアリボン」を作りました。
※トリプルネガティブ 乳がんのタイプ。女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)により増殖せず、がん細胞の増殖に関わるHER2タンパク、あるいはHER2遺伝子も過剰に持っておらず、3つが陰性という意味。ホルモン療法やHER2を標的とした分子標的薬が使えない。
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