認知症介護あるある~岡崎家の場合~
医療・健康・介護のコラム
先生、察して!本人の前で「認知症」と言えないもどかしさ
本人は症状を説明できない
長~い待ち時間を経て、診察室に呼ばれました。が、緊急で診察をお願いした初めての病院です。医師は父さんが認知症だということを知りません。受付で「高熱が出て、ショートステイの施設から帰ってきて……」とは伝えましたが、「認知症」だということは、うっかり言い忘れていたのです。
パッと見は認知症には見えない父さんに、医師は症状などをガンガン質問しています。しかし、何を聞かれても「わかんない……」とらちがあかない感じです。困惑する医師に、母さんならば「認知症なんです」とズバリ言うのかもしれませんが、たとえ父さんに自覚があるとしても、私は本人を隣にしてそう言い出すことができませんでした。
かかりつけの医師なら、私たちにもさりげなく症状などを聞いてくれますが、年の瀬で激混みの病院の医師は疲れ切った様子で、こちらの空気を察するなど期待できそうにありません。
持っててよかった!お薬手帳
すると医師が父さんに「普段、飲まれている薬などはありますか?」と聞きました。すかさず私は「お薬手帳、あります!」と手渡しました。
最初は脳血管性認知症だった父さんですが、現在は加齢と共にアルツハイマー病による認知症も少しずつ始まってきているとして、その進行を抑えるためにアルツハイマー型認知症の人が服用するアリセプトを飲んでいます。その記載を見た医師は「ハッ」とした表情をしていました。
持っててよかった、お薬手帳~! ですが、医師に父さんが認知症ということが伝わっても、私も施設からの電話で聞いた「今朝から高熱を出して……」という情報以外はわかりません。「自分の病状などを人に伝えることが難しい認知症の人が病気になったときのサポートはどうしたらいいのか」と非常に考えさせられる出来事でした。
父さんは、予防接種を受けていたにもかかわらず、検査の結果「インフルエンザA型」ということで5日間の外出禁止に。結果、父さんの看病により平成最後の年末年始は、たー君にお年玉を渡すどころではなくなってしまった……というのが、前回のコラムで述べたことの経緯なのです。
それにしても、インフルエンザの破壊力たるや。私は、予防接種の効果なのか今のところ大丈夫ですが、みなさま、この季節は特に手洗い、うがいを徹底して、くれぐれもお気を付けください。(岡崎杏里 ライター)
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