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[東京2020記念]姉・平野美宇さん、妹・亜子さん、卓球通じ個性を伸ばす 母・平野真理子さん

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平野真理子さん

卓球を通じて平野美宇さん、亜子さんを育てた経験について語る平野真理子さん(松田賢一撮影)

障害者と社会のかけ橋に

 山梨県中央市で開いている卓球教室には、3歳から80歳代までの約100人が通っています。発達障害や聴覚障害などがある選手も10人ほどいます。障害のある人と社会をつなげるかけ橋になりたいです。

 障害のある人と最初に向き合ったのは、教員として最初に赴任した静岡県の特別支援学校でした。自力で生活することが難しい生徒と関わる中で、表現方法が異なるだけで、同じように何かを感じ、伝えようとしていることを知りました。

 私が通っていた小中学校にも障害のある子はいましたが、どう接してよいか分からず、関わりを避けてきてしまったため、「人生の半分を損した」と感じるほど、充実した日々でした。

平野美宇も亜子も育てた教室

 (卓球女子選手の)美宇(18)の妹で、三女の亜子(14)が3歳の時に、発達障害と診断されました。対人関係を築くのが苦手といった特徴がありますが、特別支援学校の経験から、障害を個性として認め、良いところを伸ばす教育をしようと思うことができました。

 服を脱ぐ、掛けるなどの生活の細かい指示を表にして、出来たことを褒めることを繰り返しました。小学生の卓球の国際大会に、日本代表として出場することができました。

 卓球教室では、それぞれの障害に合わせて、図や映像を使って分かりやすく説明したり、正面でゆっくりと指示したりしています。

パラリンピックを身近に

 他の生徒には、障害のことは特に説明しませんが、私の接し方をまねて対応してくれています。障害がある人とない人が一緒に過ごすことで、無関心が生む見えない壁をなくすことができると思います。

 教室では、東京パラリンピックへの出場を目指す選手の指導もしています。パラリンピックは健常者にとって、別世界の話と思われがちですが、一緒に過ごし、対戦したことのある選手が出場していたら、応援したくなると思います。パラリンピックを身近に感じられるよう、障害のある選手とつながる機会をつくっていきたいです。

 ◇ ひらの・まりこ  1969年生まれ。静岡県出身。中学の部活動で卓球を始めた。教師を経て、現在は山梨県で平野卓球センターを運営する。卓球の女子ワールドカップ(W杯)で、2016年に16歳で史上最年少の優勝者となった長女の平野美宇選手ら3姉妹の母。

 (村上藍)

※記事は2019年1月29日掲載時のものです。東京2020を控え再構成しました。

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