思春期の子どもを持つあなたに 関谷秀子
医療・健康・介護のコラム
第3部 摂食障害(上) 中2女子、親から受け継いだ「価値観の書き換え」が進まない
「拒食症」と「過食症」――。両極端の症状が認められる摂食障害は、男性よりも女性に多く発症します。自分の外見を気にし始める思春期の女の子にも多く見られます。
「やせたい願望」が高まって、過剰なダイエットや運動に走ってしまう拒食症は、結果的に体重が極端に減り、生理がこなくなるなど、様々な身体面の不調をきたすようになります。
一方の過食症は、極端に大量に食べ、いったん食べ始めるとやめられず、過食と嘔吐を繰り返す症状になります。
拒食症から、過食症へと転じるケースもあるので、注意が必要です。
摂食障害の患者は、自分が病気であると認識していない場合が多い。低栄養・低体重による危険性だけでなく、下剤や利尿剤などの乱用の影響から、様々な体の不調が起きて、死に至ることもある。親は注意が必要だ。患者の頭の中は食べ物のことでいっぱいで、話を聞いていても体重やカロリーの話ばかりになるが、本質は隠れている心の悩みにある。その解決こそが最大の課題となる。
「足、太いね」の友達の一言から
A子さんは都内の中学2年生です。
母親の勧めで、母が卒業した私立の女子校に進学しました。一人娘のために、両親からとても大切に育てられてきたことが一目でわかりました。温厚な性格の父親は、いつも仕事が忙しいため、A子さんの教育方針など家庭内のことは、母親が祖母と相談して決めていました。生活態度はいたって真面目。勉強熱心で成績もよく、先生にも気に入られている優等生でした。部活は英語演劇部で、それも母親が勧めたことが理由だったようです。

そんな彼女が大きく変わったのは中学1年の冬。友達に何げなく「足、太いね」と言われ、それがショックだったようでした。実際のA子さんは、決して太っているわけではなく、標準体重の範囲内です。にもかかわらず、極端なダイエットをするようになりました。
体重が増えることばかりを気にするあまり、口にするのは、野菜やカロリーゼロのゼリーばかり。通学時には電車に乗らず、2時間以上もかけて歩くようにもなりました。
半年後には、体重が10キロ近く減り、生理まで止まってしまいました。
急激に変わっていく娘の姿に、心配した母親がクリニックに連れて来ました。
診察の時、私がA子さんに問いかけても、母親が代わりに答えてしまいます。本人に向けて質問すると、いちいち母親の顔色を見ながら「合っているかな」と確認しながら返答していました。そこで母親には退室してもらい、二人だけで話をすることにしました。
やっと自分の考えで話すようになったA子さんは、「本当は体重やカロリーなんか気にせずに生活したい。でもこれ以上太って醜くなるのが怖いので食べられない。食べた後には罪悪感がある」と話し始めました。
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中学生で経済や投資を学ぶとは思いませんが、時間や手間、考えの同調を、孤独や休息の時間も含めて、誰との時間にどのように割り振るのか?
核家族化で親との時間が増え、金銭と自由の問題も絡み価値観の自由度が無くなるのは少なくない家庭で起こる現象です。
使った時間や手間に伴い変化が生まれますが、そこに成長期の身体や社会の様々な問題と共に認知の問題も時に発生します。
本文は醜形恐怖や社会不適合ですが、受験やスポーツでの結果に人間関係が絡めば、未熟な心は壊れ、二次的に体が壊れます。
成長期は心身ともに不安定なので、人によってはある程度太ったり痩せたりする方が正常ということも知られるべきでしょう。
また、人と違っていることや孤独な時間が多いことは不利は多くても悪いことではないということも。
本当に心や体を壊すことに比べれば、半年や一年の遅れなど大したことではない。(日本社会はまだそういう文化が優位でないのも複雑。)
本当はマイペースで成長出来たらいいのですが、社会が許さない問題もあります。
小さな社会の同調圧力も大きいです。
医者社会でも働き方改革は進まず、若手医師や真面目な女医が苦しんでいるのはおかしいし無駄だし患者のためにもなりません。
自分も悩みをどう表現して解決していいかわからない10代20代を過ごし、どうしようもない現実への態度も含めてアドバイスをくれる人がいたらとも思いましたが、だからこそ今現在真面目な意見を考えられる不思議です。
ある面での不幸を受け止めて修正するのもまた、生きていくうえでの技術ではないかと思います。
例えば脚が太いことはその人が現代風のアイドルになるには不利という不幸でも、何らかの競技や生存には筋量が多い方が有利です。
大根足の方が笑いや共感がとれることもあるでしょう。
正しいだけでなく、楽しい、気持ちいい、という判断の軸や時間を作る工夫が大事です。
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