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大人の健康を考える「大人び」

医療・健康・介護のコラム

患者力(3)手術に備え体調管理

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  このシリーズでは、元和歌山市医師会長で、田中内科医院(和歌山市)院長の田中章慈さん(71)に聞きます。(米井吾一)

患者力(3) 手術に備え体調管理

 「左肺の結節陰影ですが、悪性の疑いが強いと思われます。手術で摘出して明らかにしましょう」

 日本赤十字社和歌山医療センターの医師にこう告げられたのは、昨年3月のことです。

 50代前半で悪性リンパ腫、60代後半で大腸がんを経験した私は半年に1回、コンピューター断層撮影法(CT)による検査を受けてきました。2015年9月の検査で左肺下部の 末梢まっしょう に小さな影が見つかりました。しばらく経過観察を続けていましたが、その影が急に大きくなったのです。

 がんであってもサイズは小さく、リンパ節への転移なども認められないため、日赤の医師からは「小さな範囲の部分切除で根治できるだろう」と説明を受けました。

 70歳にして、次は肺がん? それでも早期の状態で見つかったのは幸せなことやと思いました。

 手術の日が決まり、「患者」としての準備を始めました。

 手術を万全に行ってもらうためには、自分の体も健康でなくてはなりません。がんなのに健康というのもおかしな話ですが、風邪をひけば手術が延期になることもあります。体の保温に気を配り、湯冷めをしないようにする。人混みを避ける。下痢を起こして体力の消耗が起きないように、牛乳や生ものは控え、大好きなアイスクリームも遠ざけました。

 手術というのは結局、不要な部分を取り除き、再びつなぎ合わせるだけのこと。医師の腕に上手下手はありますが、最終的に体の組織を元の状態に戻していくのは患者自身の体です。その状態を手術の日までに高めておくのは、患者の役割なのです。

【略歴】
田中 章慈(たなか しょうじ)
1973年、和歌山県立医科大学卒。同大学助手を経て、和歌山赤十字病院第二内科副部長。85年、田中内科医院開設。2008年から13年まで、和歌山市医師会会長を務めた。日本臨床内科医会理事。

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