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心療眼科医・若倉雅登のひとりごと

コラム

「あなたは障害者枠だから、座っているのが仕事」と暴言吐く雇用者

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障害者雇用水増しで国は2月に中途採用試験

「あなたは障害者枠だから、座っているのが仕事」と暴言吐く雇用者

 身体障害者雇用促進法の改正で、障害者の雇用について、民間企業が雇用者全体の2.2%、官公庁は2.5%以上にすることが義務化されたのが2018年4月です。ところが、国の省庁や地方自治体の障害者雇用水増し問題が同年の夏ごろに発覚し、18年の10大ニュースとして取り上げるメディアもあるほどの大問題になりました。

 それまで厚生労働省は、雇用率の達成は民間企業では50%であるのに対し、国の雇用率達成は42機関中41機関であると発表していたのですから(2017年12月12日)、これが大 (うそ) だったわけです。

 その後に発表された、厚労省の再点検の結果によりますと、国の行政機関だけで障害者雇用数は6867.5人から3407.5人と減っています。

 この不足を一部補うために、まず676人を採用する障害者の国家公務員試験が今年の2月に行われることになっていて、人事院発表の暫定値では13倍の競争率だそうです。私の外来に通院されている視覚障害者の中にも、少なくとも2人が受験生に含まれております。障害者枠の中でも視覚障害者が最も採用されにくいといわれます。彼らの合格を祈るばかりです。

障害者枠採用 仕事がないケース、逆に過剰で疲労やストレスためるケース

 ところで、これは民間企業の話ですが、私の患者の中に、入社試験を突破してせっかく障害者枠で採用されたのに、初めからほとんど仕事が与えられず、「あなたは障害者枠だから、そこに座っていることが仕事なのよ」など暴言を吐かれたという方がいました。雇用者は、どんな仕事を与えればよいのかわからなかったと言い訳したそうです。

 別の方の例では、採用されて本人も最初は張り切り、周囲も理解し、支援してくれました。しかし、何年か過ぎて、仕事にも慣れ、さらには部下ができるようになると新たな問題が出てきました。できる仕事でも量が過剰になれば、障害のある場合にはしばしば持久力に限界があり、できなくなります。それでも頑張っていましたが、年数が () つと上司や周囲も変化し、周囲からの配慮はなくなってきて、疲労とストレスは () まる一方になりました。

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201505_第4回「読売医療サロン」_若倉

若倉雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院(東京・御茶ノ水)名誉院長
1949年東京生まれ。北里大学医学研究科博士課程修了。グラスゴー大学シニア研究員、北里大学助教授、井上眼科病院副院長を経て、2002年から同病院院長。12年4月から現職。日本神経眼科学会理事長、東京大学医学部非常勤講師、北里大学医学部客員教授などを歴任し、15年4月にNPO法人「目と心の健康相談室」を立ち上げ副理事長に就任。「医者で苦労する人、しない人---心療眼科医が本音で伝える患者学」、「健康は眼に聞け」「絶望からはじまる患者力」(以上春秋社)、「目の異常、そのとき」(人間と歴史社)、医療小説「茅花流しの診療所」(青志社)など著書多数。専門は、神経眼科、心療眼科。予約数を制限して1人あたりの診療時間を確保する特別外来を週前半に担当し、週後半には講演・著作活動のほか、NPO法人、患者会などでのボランティア活動に取り組む。

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