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いつか赤ちゃんに会いたいあなたへ

医療・健康・介護のコラム

部下が不妊治療 過剰反応せず、サポートする気持ちを伝えて

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 この連載をご覧いただいたという方から相談を受けました。知人の知人で、食品メーカーの課長Tさん(49)です。年末、仲間内の集いでお会いした時、知人が本コラムの話をしたところ、なんと「私それ読みました!」とうれしいお言葉。そして「ちょっとご相談したいことがあるんですけど…」とのことで、その後、二人で場所を変え、折り入っての話となったのです。 

「これから本格的に不妊治療をする」と部下からメール

 Tさんの話によると、部下から「これから本格的な不妊治療をすることになると思います」と伝えられたとのこと。Tさんはワーキングマザーで、2人の子供を育てながら仕事を続けてきました。周りも子供のいる人ばかりで不妊治療のことはよくわからず、困っているというのです。

 「芸能人も不妊治療で出産したと聞くこともあるから、ああ、そういう人もいるんだな、と。けっこうつらそうだし、お金もかかるみたいだし、なんだか大変そうだなー、ぐらいにしか思っていなくて……」

 こうした話を聞くと、不妊は本当に知られていないな、と実感します。今やカップルの5.5組に1組は不妊治療を受けている時代でありながら、このように言われることはとても多いのです。講演でよく話をしますが、皆さんの周囲に「いない」のではなく、本人が言ってないので「知らない」だけです。不妊治療の経験者は必ず周囲にいます。やはり(職場などでは特に)話しづらい環境があるのでしょう。

何と返事していいかわからず、どうしたらいいか

 「そうですよねー。身近にいないとピンとこないですよね。それで、Tさんはその部下の方に何とおっしゃったんですか?」

 「実はまだ面と向かって話をしていないんです。あちらもいきなりは話しにくかったのか、メールで送ってこられて、それで何と返事していいかわからず、ひとまず『承知しました。今度詳しいお話ききます』とだけ返しました。年末はお互いバタバタしていて、二人でゆっくり話す時間もなく、年明けにはちゃんと面談しないといけないと思っていたので、不妊とか、不妊治療とか、そういう単語が目に入るようになって、松本さんのコラムも拝読していたんです。まさか、ここでご本人にお会いできるなんて! 良かったー!」

 喜んではいただいたものの、私への期待の大きさはそのままプレッシャー(汗)。確かに私も不妊治療経験者ではあるし、これまで多くの当事者と会っていますが、それでも「ハイ、この対応で正解、間違いなし!」というものを持ち合わせているわけではありません。うーん、どうしたらいいかしら。

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松本 亜樹子(まつもと・あきこ)
NPO法人Fineファウンダー・理事/国際コーチング連盟マスター認定コーチ

松本亜樹子(まつもと あきこ)

 長崎市生まれ。不妊経験をきっかけとしてNPO法人Fine(~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~)を立ち上げ、不妊の環境向上等の自助活動を行なっている。自身は法人の事業に従事しながら、人材育成トレーナー(米国Gallup社認定ストレングス・コーチ、アンガーマネジメントコンサルタント等)、研修講師として活動している。著書に『不妊治療のやめどき』(WAVE出版)など。
Official site:http://coacham.biz/

野曽原 誉枝(のそはら・やすえ)
NPO法人Fine理事長

 福島県郡山市出身。NECに管理職として勤務しながら6年の不妊治療を経て男児を出産。2013年からNPO法人Fineに参画。14年9月に同法人理事、22年9月に理事長に就任。自らの不妊治療と仕事の両立の実体験をもとに、企業の従業員向け講演や、自治体向けの啓発活動、プレコンセプションケア推進に力を入れている。自身は、法人の事業に従事しながら、産後ドゥーラとして産後ケア活動をしている。

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