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耳に障害、信号無視の車にはねられ事故死した女子大生の夢…道徳の教材に

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耳に障害、信号無視の車にはねられ事故死した女子大生の夢…道徳の教材に

亡くなる約1週間前、二宮町社会福祉大会の模擬店でボランティアをする瞳さん(両親提供)

 耳が聞こえない障害を抱えながら大学に通い、昨年10月に交通事故死した城西国際大環境社会学部(千葉県東金市)3年秋沢瞳さん(当時21歳)の生涯が、出身地の神奈川県二宮町で、小中学校の道徳の教材に使われる。瞳さんは「古里の環境を守り、福祉を充実させる仕事をしたい」と夢を抱き、留学も目指していた。

 瞳さんは2歳で障害が判明。母洋子さん(51)の「普通の子と同じ体験を」との考えから、音楽に合わせて体を動かす「リトミック」の教室に通ったり、油絵、書道を学んだりしてきた。

 ろう学校では「手に職を」と勧められたが、夢の実現のため、親元を離れて大学に進学した。両親に負担をかけまいと、週3日、東金市内のデイケア施設で洗濯や炊事のアルバイトをこなす一方、大学や地域の手話サークルに参加。農業を営む父広一さん(53)を手伝うため、条件付きの車の運転に向けて自動車教習所に通った。地元に戻れば、社会福祉協議会のイベントボランティアもした。

 昨年9月18~22日、希望留学先のスウェーデンのストックホルム大を見学し、帰国後に両親を説得、納得させた。10月3日、ゼミの教授に留学を目指すと伝え、手帳に「(先生が)応援してくれてうれしかった。英語力アップするようにがんばる」と書いた。

 3日後の10月6日夕、東金市の県道で、瞳さんは横断歩道を自転車で渡る際、信号無視の軽貨物車にはねられた。一緒に信号待ちしていた人は車の気配で足を止めたが、瞳さんはそのまま渡ってしまったという。

 リトミック教室主宰者の一色由利子さんは、瞳さんが幼少の頃に教室を離れた後も交流を続け、事故6日前、留学を「応援してるよ」と伝えたばかりだった。「町の子供たちに伝えたい」と二宮町教育長に相談し、両親の了解を得た。

 町立山西小の松本雅志校長が中心になり、弱音を吐かず、愛されて亡くなっていった瞳さんの人生を文章にした。松本校長は今月15日、6年生の道徳で自ら教壇に立つ。他の小中学校でも道徳や校長講話で取り上げ、新年度以降も続ける。松本校長は「長く語り継ぎたい」と話し、洋子さんは「瞳が子供たちの胸の中で生き続けてくれれば、せめてもの救いになる」と話している。

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