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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

コラム

認知症の人にあだ名…「親しみ」それとも「無礼」?

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漫画・日野あかね

たー君は認知症のじいちゃんしか知らない

 前回のコラムで述べた通り、認知症の父さんは、私の息子のたー君にとってはちょっと風変わり(?)なじいちゃんです。

 大人ならば、認知症がどういうものか理解していますし、父さんのトンチンカンな行動もそれが原因だとわかります。私や母さんは元気でしっかりしていたころの父さんも知っています。でも、たー君は、生まれたときからじいちゃんは認知症。5歳児にはまだ認知症を詳しく理解することは難しいと思います。

 それでも、父さんは家族の年長者で尊敬するべき人だということを、たー君に教えないといけません。そのあたりをどうしたらいいのか。悩ましい問題でもありました。

お年玉で教える「年長者」

 そんなことを気にかけつつ迎えた去年のお正月。たー君がこども園に通い始めたということで、父さんと母さんが初めて、たー君にお年玉をくれました。

 まずは新年のあいさつを済ますと、母さんは「じいちゃんのところに行ってごらん」と、たー君を父さんのもとへ向かわせます。父さんの手には、母さんが用意しておいたお年玉が。それをたー君に渡すと、すかさず母さんが「じいちゃんに『ありがとう』って、言わないとねー」と、お礼を言うように促しました。

 母さんは、私に向かって「ここはじいちゃんの役割を果たしてもらわないと」とニヤリ。母さんなりの考えで、父さんの家族の中での役割をさりげなく、たー君に教えてくれていたのです。

 たー君に「じいちゃん、ありがとう」と言われたときの父さんの顔が、いつもよりちょっと誇らしげでした。認知症になっても父さんは岡崎家の年長者で敬うべき存在だと、私も改めて認識させられたのです。

 今年のお正月も同じ光景が見られるかと思いきや、年末に大事件が勃発! 年が明けても、たー君のお年玉どころではなくなってしまったのでした……(この話は、次回!)。

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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

岡崎杏里(おかざき・あんり)
 ライター、エッセイスト
 1975年生まれ。23歳で始まった認知症の父親の介護と、卵巣がんを患った母親の看病の日々をつづったエッセー&コミック『笑う介護。』(漫画・松本ぷりっつ、成美堂出版)や『みんなの認知症』(同)などの著書がある。2011年に結婚、13年に長男を出産。介護と育児の「ダブルケア」の毎日を送りながら、雑誌などで介護に関する記事の執筆を行う。岡崎家で日夜、生まれる面白エピソードを紹介するブログ「続・『笑う介護。』」も人気。

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日野あかね(ひの・あかね)
 漫画家
 北海道在住。2005年にステージ4の悪性リンパ腫と宣告された夫が、治療を受けて生還するまでを描いたコミックエッセー『のほほん亭主、がんになる。』(ぶんか社)を12年に出版。16年には、自宅で介護していた認知症の義母をみとった。現在は、レディースコミック『ほんとうに泣ける話』『家庭サスペンス』などでグルメ漫画を連載。看護師の資格を持ち、執筆の傍ら、グループホームで介護スタッフとして勤務している。

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