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情報革命(3)精神疾患 意思の伝達支援

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情報革命(3)精神疾患 意思の伝達支援

SHAREのソフトを説明する当事者スタッフの女性。実際に使用する際には患者が正面に座り、スタッフが隣でサポートする(東京都国分寺市で)

 「また仕事に戻りたい」「薬のせいで増えた体重を減らしたい」「将来的には、結婚をしたい」――。

 治療の希望を書く欄に30歳代の女性はそう記した。

 こころの病気の診療にあたる東京都国分寺市の国分寺すずかけ心療クリニック。ここでは、患者がパソコンソフトを使って医師に伝えたいことを書き出したうえで、診察に臨むシステムの導入に取り組んでいる。

 クリニックには、こころの病気の当事者もスタッフとして勤務。2人でパソコン画面に向き合いながら書き込んでいく。女性は「客観的に自分をみるのは不得意なので、最初は戸惑った。スタッフが話を引き出してくれて、自分の考えをまとめられるようになった」と話す。

 当事者スタッフの40歳代の女性は、「同じ患者の立場として、医師はどうせ話を聞いてくれない、言っても無駄との失望感を抱いている人もいると思う。でも、精神科の診察は、患者の自己申告がないと始まらない。病気以外の生活の悩みでも何でも言っていいのだということを、繰り返し強調しています」と話す。

 「SHARE(シェア)」と名付けられたこのソフトは、元・国立精神・神経医療研究センター研究所部長の伊藤順一郎さんらが、米国版を参考に2012~14年度に開発した。

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