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新聞を音訳、視覚障害者向け放送30年…読み手はボランティア

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新聞を音訳、視覚障害者向け放送30年…読み手はボランティア

放送の合間に笑顔を見せる音訳ボランティア。「聞いてくれる人たちに正確な情報を」と4紙を手分けして読み上げる(大阪市都島区で)=近藤誠撮影

 全国で唯一、視覚障害者のための音声番組を制作している「JBS日本福祉放送」(大阪市都島区)が、番組の放送を始めて30年を超えた。新聞の音訳を中心に、目の不自由な人たちの貴重な情報源となってきたが、近年は新聞の読み手となるボランティアが減って高齢化が進んでおり、JBSは新時代を支えるメンバーを募っている。

リスナー6000人

 「今日の朝刊、読売新聞の担当は」

 ボランティアは自己紹介後、各紙の1面から読み始める。手元には担当記事に赤線を引いた紙面を置く。

 JBSは、社会福祉法人「視覚障害者文化振興協会」(都島区)が企業からの寄付金などで運営する。有線放送「USEN」やインターネット(http://www.jbs.or.jp/)を通じ、24時間無休で配信。リスナーは全国で約6000人という。

 「その日の新聞で、いち早く世の中を知りたい」という視覚障害者の声に応えて1988年にスタートし、翌年には東京にもスタジオを構えて一時は約50番組を制作した。寄付金は90年代から右肩下がりになり、東京のスタジオは2007年に閉鎖。番組も音楽や点字講座など八つに縮小した。

 それでも、生放送で4紙の記事を紹介する「今日の朝刊」は、当初から続く人気番組だ。毎日午前10時~正午、1面や政治、経済、社会といった各面の主要記事を音訳している。抑揚を付ける一般的な朗読と違い、情報を正確に伝えるために意識的に淡々と読み上げる。一般ニュースは重複を避ける一方、「編集手帳」などのコラムや社説は全紙扱い、論調がわかるようにしている。

 リスナーからは「感情を交えない放送で社会がわかる」「作業しながら気軽に聞ける」と好評だ。代表の川越利信さん(74)は「視覚障害者はネットなど他の媒体を使えない人が多い。様々な考え方を学ぶ手段としてニーズは根強い」と語る。

養成講座も

 新聞の音訳ボランティアは1時間前から固有名詞などを入念に確認し、本番に臨んでいる。

 ボランティアは現在、10年前の半分の60人に減っている。中心メンバーは60~70歳代。放送は原則4人で1人1紙を受け持つが、読み手が確保できず、2人で4紙担当する日もある。メンバーの女性(62)は「音訳する記事も増えて大変。誤読しないようにと普段以上に神経を使う」と打ち明ける。

 JBSは開設当初からボランティアが不足した時に無料の養成講座を開いている。今年は2年ぶりに2月から定員20人、全12回で開き、担い手不足の解消を図る。発声方法や読むスピードなどを練習し、新聞の紙面構成も学んでもらう。

 開始以来のメンバーで、講座の講師を務める女性(82)は「自分たちが視覚障害者の目となっていることを実感できる仕事で、やりがいは大きい」と参加を呼びかけている。問い合わせは、JBS(06・4801・7400)へ。

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