漫画家 藤子不二雄(A)さん
一病息災
[漫画家 藤子不二雄(A)さん]大腸がんと心不全(1)告知で「目の前真っ黒け」
高校時代に、今は亡き藤子・F・不二雄氏とのコンビでデビュー。「オバケのQ太郎」「忍者ハットリくん」「怪物くん」「まんが道」……。世に出した漫画はどれも、幅広い年齢層に愛読されている。アニメの「笑ゥせぇるすまん」(原作は「黒ィせぇるすまん」)は、笑みを浮かべた黒服のセールスマンの喪黒福造が、現代人の欲望や心の渇きをあぶり出す名作だ。
酒と酒場での出会いを愛してきた。
担当編集者を連れて居酒屋やバーをはしごし、夜明け前まで。そんな日々を長年続けていても、健康診断の結果はいつも異常なし。「編集者が体を壊しても、藤子さんは元気」と周囲が驚くほどの病気知らずだった。
富山県氷見市の禅寺で生まれた。幼い頃から肉や魚は食べず、食事は野菜や海藻が中心。「元気でいられるのも、この食生活のおかげだ」と信じてきた。
その健康への自信が揺らいだのは、2012年の終わり頃。右腕の皮膚疾患を治療してくれたなじみの医師に、がん検診を勧められた。陽電子放射断層撮影(PET)を受けると、おなかの付近に黒い影が見つかった。大腸がんだった。
自覚症状が全くなかっただけに、予想もしておらず、ショックは大きかった。
「目の前が真っ黒けです。これで終わりなのかなと思いました」
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