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情報革命(1)スマホで家でもカルテ

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 スマートフォンやタブレット。身近な機器で情報を共有し、治療に生かす取り組みが広がりつつある。最前線の現場を歩いた。

検査や処方 患者側にも「参加意識」

情報革命(1)スマホで家でもカルテ

 バッグから取り出したタブレット端末を操作すると、病院で見るのと同じ鮮明なCT(コンピューター断層撮影法)画像が表れた。診察室で医師が説明する時のように、連続する断面の画像も指先一つでなめらかに動く。

 「医師から聞いた説明を、こうやって画像を見ながら“復習”するんです」。石川県七尾市の恵寿総合病院に勤める女性(58)がいつも手元に持っているのは、がんで闘病中の夫(59)の電子カルテの情報だ。2017年9月に同病院が導入した。

 女性の夫は5年ほど前、胸の筋肉に珍しい悪性の腫瘍が見つかり、大学病院で切除手術を受けた。だが、その後、何度も再発。地元の恵寿総合病院と大学病院を行き来しながら、闘病を続けている。

 手術や放射線治療でもろくなった患部は出血しやすい。女性がスマホなどで電子カルテの情報を見られるようになって間もなく、夫は大出血を起こして恵寿総合病院に救急車で運ばれた。

 「具合はどうでしたか」。状態が落ち着いてから、がん治療のため大学病院を訪れると医師が尋ねた。

 スマホを取り出し、登録したカルテの情報を見てもらった。出血量の多さや貧血の程度を表す検査数値の低さに、医師がうなった。

 何も手持ちがなければ、「点滴をしたら落ち着きました」と答えるのが精いっぱいだったと思う。「カルテの情報を持っていて良かったとつくづく感じました」と、女性は振り返る。

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