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渡辺専門委員の「しあわせの歯科医療」

コラム

そうだ、歯医者に行こう!

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 口は食べたり味わったりするだけではなく、話をしたり、笑ったり、表情も演出します。その口の中の細菌や歯周病の炎症は、糖尿病や脳血管に悪影響を与え、肺炎や認知症などの病にも関係することが分かってきました。お口の衛生はまさに健康管理の柱の一つ。もう一歩先を言えば、健康の目的はしあわせな人生でしょう。そこで「しあわせの歯科医療」について、医療記者として、自分自身の歯で悩む当事者として考えます。

リンゴをかじると血が出ませんか?

そうだ、歯医者に行こう!

 「リンゴをかじると血が出ませんか」という歯磨き粉のテレビCMを覚えていますか。リンゴを丸ごとかじって、そこに血がついていたら「 歯槽(しそう)膿漏(のうろう) 」、歯と歯茎を守る……と歯磨き粉をPRしていました。1982年までの17年間に放送していたので40歳半ば以上なら目や耳に残っているのではないでしょうか。CMで注意を促していた歯槽膿漏とは進んだ歯周病のこと。以前は、歯槽膿漏と呼ばれることが多かったようです。

 どうしてリンゴをかじると血が出るのか。歯周病は歯と歯茎の間に歯周病菌が感染して歯茎に炎症を起こし腫れたりします。リンゴをかじるとか、歯磨きなど刺激が加わると出血するわけです。さらに進むと歯を支える骨が溶けて歯がぐらぐらして最後には抜けてしまいます。

 「歯磨きで出血はしないし、歯周病は大丈夫」と思っているあなた、本当に大丈夫ですか。

成人の70%が歯周病

 国の調査によると働き盛り世代で歯周病にかかっているのはなんと70%。40歳以上では80%になります。成人が歯を失う最大の原因は虫歯ではなくて歯周病です。それに加えて、重症の歯周病があると、糖尿病の血糖管理は難しくなるし、脳卒中の危険が高まり、認知症や高齢者では死に直結する肺炎にも関係していることがわかっています。歯周病を予防、治療してお口を衛生的にするのは、歯のためだけではなく、健康のために大切というのが“平成の新常識”です。

脳卒中、糖尿病、認知症、肺炎に関連

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 歯茎の病気がどうして全身の病気にかかわってくるのか。歯周病が専門の東京医科歯科大名誉教授・和泉雄一さん=写真=に聞きました。

 「歯周病は歯周病菌が歯茎に炎症を引き起こすわけですが、主な原因になるポルフィロモナス・ジンジバリスなどの歯周病菌や炎症から出る物質は歯茎にとどまってはくれず、血管から全身に回ってしまいます。細菌の刺激で動脈硬化が進み、炎症から発生する物質は糖尿病を悪化させ、認知症の原因になる脳でのアミロイド β(ベータ) というたんぱく質の沈着を歯周病菌が促す可能性も指摘されています。妊婦さんでは早産や低体重出産の危険があります」。歯周病菌などの細菌が肺に入ると 誤嚥(ごえん) 性肺炎を起こすので、高齢者施設などでは歯磨きを徹底して誤嚥性肺炎を減らしているところも増えています。

 多くの人が血圧やコレステロール、糖尿病の治療を受けていますが、日々のお口の管理や、歯磨きやフロスでは取れない歯石を歯科でお掃除をしてもらわないと、健康の管理は十分とは言えないのです。

 そう言われても「リンゴをかじっても、歯を磨いても出血はないし、やっぱり歯周病は大丈夫」と思ったあなた、この1年の間に歯周病の検査を受けましたか?

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★【完成版】しあわせの歯科医療2 300-300

渡辺勝敏(わたなべ・かつとし)
読売新聞記者(医療ネットワーク事務局専門委員)。1985年入社。 秋田支局、金沢支局、社会部を経て97年から医療を担当。2004年に病院ごとの治療件数を一覧にした「病院の実力」、2009年に医療健康サイト「ヨミドクター」を立ち上げた。歯科については歯茎や歯根があやしくなってきた10年来、患者としても関心を持たざるを得なくなっている。立命館大学客員教授。

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