街で障害のある人と出会ったら~共生社会のマナー
医療・健康・介護のコラム
誰にも使いやすい多目的トイレ ただし、そこしか使えない人への配慮が必要です
ヨミドクターをご覧のみなさま。サービス介助士インストラクターの冨樫正義です。今回は毎日の生活に欠かせないトイレ、特に多目的トイレについて一緒に考えてみましょう。
障害・年齢・性別などにかかわらず、誰にも快適に
最近、商業施設や公共交通機関等で、多目的トイレを見る機会が増えてきたと思いませんか。多目的トイレとは、車いす使用者でもオストメイト(人工肛門・人工膀胱の保有者)でも、小さな子ども連れでも、誰でも使いやすい設備と広さを備えたトイレです。ユニバーサルデザインの一つと言えるでしょう。
ユニバーサルデザインとは障害の有無・年齢・性別・国籍・人種などにかかわらず、誰もが気持ちよく使えるように、あらかじめ都市や建物、生活環境を計画することです。
実際「どなたでもご利用いただけます」と表示しているトイレもあります。
車いす使用者やオストメイトなどに必要な機能
この多目的トイレはどのような人が利用しているのでしょう。
まず思い浮かぶのは、車いす使用者ではないでしょうか。元々、多目的トイレは車いす使用者のためのトイレですから、十分な間口がある上、ドアは車いす使用者が入りやすいよう引き戸が基本です。スムーズに回転ができる広さも必要です。また、便座へ移動するときのために可動式の手すりがついていますし、低い位置からでも見える鏡があります。
次にオストメイトです。オストメイトは、排泄を自分でコントロールできないので、排泄物を受ける袋をおなかの外側につけています。そして、外出先でその袋にたまった排泄物の処理や交換をするため、オストメイト用の洗浄機器があるトイレが必要です。
その他、視覚障害者の中には、ウォシュレットの操作盤に点字があったり、ペーパーホルダーや流すボタンが決まった位置にある多目的トイレの方が使用しやすいという人もいます。一方でトイレ全体のレイアウトが一様ではないため、むしろ「一般のトイレの個室の方が利用しやすい」という声もよく聞きます。
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多目的トイレの要素分解と未来の為の再定義
寺田次郎 六甲学院放射線科不名誉享受
仰られることはまさしく正論ですが、言い換えれば、通常のトイレの数が足りていないことが問題の根源の一つだと思います。 特にLCCにより観光客が増え...
仰られることはまさしく正論ですが、言い換えれば、通常のトイレの数が足りていないことが問題の根源の一つだと思います。
特にLCCにより観光客が増えたことで、都心部の電車もトイレも明らかに混雑しています。
ホテルも数年前に比べて高騰してしまい、学術集会の時の宿の確保も自腹の人間にとってはしんどい場合があります。
ということは、本来的には通常のインフラの拡張でもって、障害者用のインフラもまとめて拡張する方がコスト効率が良いのではないかと思います。
デザインが均一である方が良いのかどうかはわかりませんが、もしも、ある程度発言権のある人が均一のものを大量生産するように声を出せば実行に移せますし、一方で、画一的なデザインや色調が問題であるならば、セミカスタムにするだけでも、製造速度向上やコスト削減は望めます。
どの程度の障害や個性を許容するか?
まさしくトイレのデザインは社会のデザインと相似関係にあると思います。
障害者のトイレだけ見ていると、障害者の敵対要素としての一般人になると思いますが、一歩引いて「高コストの自由なトイレ」の発想で見ると違う見え方になりますし、その製造工程や使用法を考えれば、より良い運用も見えてくるのではないかと思います。
これはトイレに限りませんし、日本の観光産業の拡張を目指すうえで大事になってくるのではないかと思います。
もちろん、医療通訳だけでなく、外国人向けの医療制度や人材を整備すれば、他国に対する差別化になりますし、トイレやその他の衛生環境も医療とセットで「生活インフラ」と捉えれば、まだまだ改善の可能性があります。
外国人というのは「日本語や和式トイレに不慣れな障害者」なわけですから、彼らのトイレの動線が整備できれば、絶対に洋式トイレである多目的トイレに影響はあると思います。
観光客や観光産業従事者を増やしたい地方都市にとっても大事だと思います。
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