介護・シニア
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車の処分は手続き踏んで
廃車と譲渡 違いに注意
高齢になり、運転免許証を返納した場合、使っていた車の処分が悩みのタネだ。廃車にするのと、家族などに譲るのとでは、手続きや必要な書類が異なる。保険や税金なども確認しておきたい。
■運転免許返納が増加
高齢になると、若い頃と同じように運転できなくなる人も多い。
警察庁の統計によると、75歳以上のドライバーによる死亡事故は、2017年に418件と全体の13%。理由は、ハンドル操作の誤りなどが最も多く、特にブレーキとアクセルの踏み間違いの割合は、75歳未満と比べると、8倍近かった。
申請による運転免許取り消し(返納)を選ぶ人も増えており、同年は42万3800件だった。うち65歳以上が96%を占める。
■車を手放すときは…
運転免許を返納して車を使わなくなったら、次に考えるのは「車をどう処分するか」だろう。
買い取ってもらえるか、まずは購入した販売店に相談してみよう。インターネットで複数の中古車店の査定を受けられるサイトもある。
自動車登録に詳しい行政書士の大貫弘嗣さんによると、車を解体して完全に廃車にする場合には、「永久抹消登録」の手続きを取る。業者に依頼して車両の解体を済ませた後、車検証(自動車検査証)や取り外したナンバープレート、解体されたことを示す書類などをそろえ、運輸支局などに提出する。
このとき、自動車検査証の有効期間が1か月以上残っている場合は、残りの期間分の自動車重量税の還付を受けることができる。同時に申請しておこう。
■家族などに譲るときは…
車を子どもや孫などに譲るケースも多い。「この場合は運輸支局で『移転登録』の手続きが必要」と大貫さんは説明する。
もとの所有者は、自動車検査証(車検の有効期間のあるもの)、印鑑証明書(発行後3か月以内)、譲渡証明書などをそろえる。
新しい所有者と使う人が同じ場合は、新しい所有者の印鑑証明書、自動車保管場所証明書(車庫証明、必要な地域に限る)なども用意しておく。新たな所有者が未成年者の場合には、親の実印を押した同意書、戸籍謄本なども必要になる。軽自動車は処分時に届け出の内容を変更しなければならない。最寄りの軽自動車検査協会で確認しよう。
■保険や税金も確認
廃車にしたら任意保険は解約してもいい。譲った場合は、保険の名義を変更したり、等級を引き継げるか確認したりしておこう。
譲渡する場合は受け取った側に自動車取得税がかかる。新車価格などから算定した取得価額が50万円超なら課税対象になるので注意したい。
万一、所有者が死亡した場合は、相続のための手続きを取る。行政書士全国陸運機構で会計責任者を務める染谷明さんは、「名義変更には相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明などが必要になりますが、査定員による査定価格が100万円以下の場合は簡便に済ませることもできます。手続きに迷ったら行政書士に相談してほしい」とアドバイスしている。
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