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医療・健康・介護のコラム

[女優 東ちづるさん](下)ボランティア活動は26年 「まぜこぜの社会」目指し、LGBTの映画も制作

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LGBTの映画作って」に「無理」と即答 でもドキュメンタリーなら……

――映画作りのきっかけは?

 LGBTは13人に1人というデータもあります。ボランティア活動で接する人たちの中にも当然いて、カミングアウトされたり、入院時に病院に伝えるべきか相談されたりしました。十数年前にはオランダで同性愛カップルの結婚式に参列したのですが、愛し合う2人をみなが祝福し、感動的でした。これがだめな理由が分からない。地球上どこでもこうあるべきだと思いました。

 3年前、LGBT仲間と映画を見たとき、「このLGBT映画もすばらしいけど、自分たちを理解してもらえる映画じゃない。ちづるねえさん、そういう映画作って」と言われて、「無理」と即答しました。映画は出るもので、作る視点はなかったので。でも、ドキュメンタリーなら作れるかなと思い、企画、キャスト、インタビューを担当し、資金集めも「Get in touch」で頑張って、何とか完成させました。 

――内容を簡単に教えてください。

 75時間以上にわたる50人へのインタビューを、90分に編集しています。みんなLGBTの活動家ですが、講演などとは違い、ポロッと口にしたことを中心に紡いでいます。家族へのインタビューもあり、盛りだくさん。私自身も多くの発見がありました。

LGBT映画はこける」と言われていたが、反響の大きさにびっくり

――反響はいかがですか。

 びっくりするほど。多くの大学や企業、福祉・支援団体などで自主上映されており、上映希望の問い合わせで事務局は大変です。学校用映像も、まだ積極的に発信してないのに130校以上から配布の要望がきています。

 映画関係者からは「LGBT映画はこける」と言われていました。勘違いされる、セクシュアリティーがばれる、などの理由で客足が伸びないというのです。でも最近は、LGBTがニュースにならない日はないくらい。地殻変動が起きているかのようです。

 もっとも、自主上映会が決まった後で「まだ早すぎる」とキャンセルされることもあります。LGBTという言葉は浸透してきましたが、一方で理解しようとしない人もいて、分断の激しさを感じています。だからこそ、この映画が必要なのだと思います。

女優として未知の世界を見たい 自分の言葉も発信していく

――今後、女優としてはどんな仕事を?

 未知の世界を見てみたいです。日本は、この俳優はこういう系統と決めてしまいがち。だから、ドラマや映画を作る側の人に、もっとトライしてほしいなあと思います。

 自分の言葉を発信していく仕事もしていきます。子どものころ、字を書く人か絵を描く人になりたいと思っていて、芸能界に入るときも、本を書けるようになれるかもしれないというのが励みでした。実際に本や絵本を書くと、まじめな顔で「うまいゴーストライターが書いていますね」と言われたりしますが、自分で書いていますよ(笑)。

あずま・ちづる
 1960年、広島県生まれ。大手メーカー社員を経て芸能界入り。ドラマや映画、ラジオ、CM、講演、執筆など幅広く活躍。骨髄バンクやドイツ国際平和村などの活動支援のほか、2012年に「まぜこぜの社会」の実現を目指す一般社団法人「Get in touch」を設立、理事長に就任。同団体制作のLGBTのドキュメンタリー映画「私はワタシ ~over the rainbow~ 」のプロデユーサーも務めた。著書に「<私>はなぜカウンセリングを受けたのか 『いい人、やめた!』母と娘の挑戦」(マガジンハウス)など。

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