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体の上手な使い方(下)肩甲骨と背筋 意識して
福岡市中央区の整形外科医、武田淳也さん(55)は、胸の部分にある背骨「胸椎」と、脚の付け根にある「股関節」をしっかり使うことで、首や腰の負担を減らせると話す。日常生活で心がけるポイントを教えてもらった。
「胸椎は、肩甲骨を利用して動かしましょう」と武田さん。肩甲骨は、背中にある左右一対の骨で、常に胸椎と連動している。胸椎は 肋骨 とつながっているために動かしにくいが、肩甲骨を意識することでスムーズに使えるという。
例えば、「上を向く」時。うがいをしたり、高い所にある物を取ったり、洗濯物を干したり、日々の暮らしで頻繁に行う動作だ。
首だけを曲げて上を見ようとしがちだが、胸椎の動きが肩甲骨によって妨げられ、首に負担がかかる。左右の肩甲骨を背骨の方へ引き寄せながら、お尻に向かって引き下げよう。肩甲骨の働きで、胸椎を楽に動かすことができる。
上にある物を取るような場合では、背中が丸まったまま腕だけを上げると、肩を痛めたり、腰が反りすぎてぎっくり腰になったりする恐れがある。肩甲骨を上方向へぐるりと回しながら、背骨から伸ばすイメージで腕を上げるといい。
股関節は、歩いたり踏ん張って体を支えたり、脚のあらゆる動作で使う部位だ。股関節の筋肉が衰えると生活を送るうえで様々な支障が出るので、日頃から意識して使いたい。
特に床にある物を拾ったり持ち上げたりする時には、しゃがむのを怠らないようにしよう。腰だけを曲げて行おうとすると、腰椎を過度に痛めてしまう。しゃがむ際は膝を曲げ、背筋を伸ばして腰を落とすと、股関節が自然に曲がり、腰への負担が軽くなる。立ち上がる際は、腰を反らさず、膝と股関節を伸ばすようにするとよい。
「ちょっとした心がけを毎日実践することが大事。体を上手に使って、痛みや疲れを予防してほしい」と武田さんは呼びかける。
このシリーズは高梨忍が担当しました。