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どちらで申告?医療費控除…領収書確認 差額で判断

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どちらで申告?医療費控除…領収書確認 差額で判断

 この1年、医療費がかさんだ家庭もあるだろう。一定額を超えると、確定申告により税負担が軽くなる「医療費控除」が利用できる。また、特定の医薬品の出費については、「セルフメディケーション税制」も選べる。どちらで申告するといいのか、ポイントを確認しよう。

 神奈川県のパートの女性(46)は、医療費控除を意識し、普段から医療機関などの領収書を保管している。だが、セルフメディケーション税制のことはよく知らず、「どちらを使うべきか見当がつかない」と漏らす。

 税理士の中村健二さんは「二つの制度は併用できません。それぞれの内容を理解し、どちらで申請すべきか判断しましょう」と話す。

 医療費控除は治療代や手術代、薬代、通院交通費など、医療に関する幅広い出費が対象になる。保険の利かない自由診療分も治療代に含まれるが、予防接種や治療目的外の美容整形などは対象外だ。

 生計を一にする家族や親族分も合計できる。民間の医療保険から入院給付金などを受け取った場合は、合計から差し引く。こうして求めた金額のうち、原則、10万円を超えた分について所得控除を受けられる。

 セルフメディケーション税制は、医療費控除の特例として2017年分から始まった。処方箋が必要な医療用から転用された市販薬の代金が、控除の対象になる。市販薬の大半が利用可能な通常の医療費控除に比べ、範囲が限られる。

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 同税制の対象品と分かるよう、パッケージには「セルフメディケーション 税控除対象」のマーク=写真=が表示され、レシートにも「★」などの印が付く。

 こちらも家族分を合計でき、購入代金で年1万2000円を超えた分が所得から控除される。ただ、申告者が勤務先の健康診断や自治体の検診などを受けた証明書の添付が必要になる。

 利用する制度はどう判断すればいいか。「セルフメディケーション税制対象額で下限の1万2000円を超えた分と、医療費控除対象額で下限の10万円を超えた分を比べ、額が大きい方を選んで」と中村さん。

 事例で考える。ケース〈1〉は医療費控除とセルフメディケーション税制の対象額がそれぞれ13万円と7万円の場合。個々の下限額を差し引いた金額を比較すると、医療費控除は3万円、同税制は5万8000円。差額が大きい同税制の方が減税効果が高いと分かる。

 一方、13万円と3万円のケース〈2〉は、医療費控除の方が大きいので、そちらを使うとよい。ケース〈3〉では、医療費控除の対象額が5万円しかないので、そもそもセルフメディケーション税制しか選べない。

 こうして計算すれば判断に迷うことはなさそうだ。

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  [アドバイザー]中村健二さん

 税理士、中村健二税理士事務所代表。1969年、東京生まれ。慶応大大学院修了後、税理士事務所に勤務し、2006年に独立。税務会計サポートのほかセミナー講師も多数務める。ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引士資格も取得。

確定申告 スマホでも

 医療費控除やセルフメディケーション税制を利用するために行う確定申告。2018年分からは、インターネットによる申告手続き「e―Tax」がスマートフォンからも可能になる。

 従来はマイナンバーカードと、それをパソコンに読み込ませるためのカードリーダーが必要だった。18年分からは、税務署が発行するIDとパスワードを使うことで、パソコンでもスマホでも申告できる。

 医療費控除では17年分から、国税庁ホームページにある「医療費控除の明細書」に領収書の内容を記入して提出すれば、領収書の添付は不要になった。健康保険組合などが発行する「医療費のお知らせ」も使える。ただし、いずれも5年間、領収書は手元での保管が義務付けられている。

 (遠藤富美子)

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