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未病シンポジウム「人生100年時代の未病最前線」

イベント・フォーラム

[未病シンポジウム](3)健康セルフケア…プレゼンテーション

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偏りない食事 アプリで…日清オイリオグループ理事・ヘルスサイエンス事業推進室長 佐藤晋氏

[未病シンポジウム](3)健康セルフケア…プレゼンテーション

 最近、食用油の使われ方が大きく変わってきています。揚げ物、天ぷらでの使用にとどまらず、油をそのまま摂取する「生食」が注目されています。非加熱調理で使われた油は、2014年~16年で1.5倍に増えました。

 油といってもオリーブオイルやゴマ油、ココナッツオイルなど種類はたくさん。味はもちろん、抗酸化作用やLDL(悪玉)コレステロールを下げる働きがある成分を含むものなど、特長もそれぞれです。例えば「MCTオイル」は、食べたら素早くエネルギーになりやすい「中鎖脂肪酸」を含んでいます。自分に合った食用油を上手に取り入れてください。

 ここで大事なのは、運動と食事のバランス、栄養のバランス。バランスが崩れると肥満の原因にもなります。反対に高齢者では、低栄養が問題になっています。

 東京都健康長寿医療センターと、毎日の食事を記録できるアプリ「バランス日記」を開発し、11月から無料公開しています。「肉類」「魚介類」「緑黄色野菜」など10食品群から、食べた食品群をチェックします。1日7食品群以上になると、ニコちゃんマークが出てきて“合格”です。

 「果物を取っていない」「肉ばかり食べている」など、具体的な改善点に気付けます。満遍なく食べる質のよい食事は肥満やメタボだけでなく、高齢者の低栄養の予防にも効果的です。アプリで毎日の食生活を見直してみませんか。

かむ力は美しさも保つ…ロッテ ロッテノベーション本部 中央研究所上席執行役員・所長 芦谷浩明氏

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 今年から、茨城県大子町と共同で「健康長寿プロジェクト」を始めました。「かむこと」と「腸内環境の改善」に焦点をあて、健康講座などを通して、町民の健康寿命の延伸を図る取り組みです。

 創業以来、かむことの大切さについて研究を続けてきました。かむことは、脳や心を刺激するだけでなく、美容、ダイエット、口の中や体の健康の維持によいといわれています。町民のみなさんにも、最新の研究成果を提供していきたいと考えています。

 「オーラルフレイル」という言葉が、最近注目されています。少し滑舌が悪くなったり、硬いものが食べづらくなったりと、ちょっと気になる口の中の症状を指します。うまくかめないと、「硬いものを食べるのをやめよう」になってしまう。すると、ますますかむ回数が減り栄養が偏って、健康から遠ざかる悪循環に陥ってしまいます。

 大子町では、「かむかむ 健口けんこう エクササイズ」も紹介しています。ほっぺたを左右に膨らませるなど口の筋肉を使うトレーニングで、かむ力の維持が目的です。

 腸内環境にも注目しています。2年前に乳酸菌を生きたまま腸に届ける「乳酸菌ショコラ」を発売しました。町民のみなさんにチョコを食べてもらって、新たな乳酸菌の取り方を体験してもらっています。

 お菓子の会社ですから、これからも、おいしくて楽しくて、その上で健康にいいという商品を届けることを目指します。

サプリ 機能的に安全に…ファンケル総合研究所 機能性食品研究所所長 寺本祐之氏

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 無添加の化粧品会社としてスタートし、1994年からサプリメント事業を始めました。当時の健康食品は高価で、品質に疑問があるものもありました。そこで食品安全の研究所を設立し、あえて「サプリメント」という新しい言葉を使って、機能性と安全性に配慮した商品を作ってきました。現在約200人の研究員が在籍しています。

 サプリメントは、食品に分類され、長年にわたり具体的な機能の表示が禁止されてきました。2015年に「機能性表示食品制度」がスタートし、企業の自己責任で、機能をうたえるようになりました。

 例えば、目によいとされる成分を入れた「えんきん」という商品は「手元のピント調整力に」「中高年の目の健康に」など、商品の目的を分かりやすく伝えることが可能になりました。消費者が必要なものを選びやすくなったと思います。

 ただ、何でも自由に表示できるわけではなく、過去の論文や臨床試験から導かれた科学的に評価されたものに限られます。健康被害の有無などの安全性の確認や、消費者が誤認しないような適切な情報提供を行うことも求められます。現在、26製品を届け出ています。

 サプリの成分には、医薬品と相互作用を起こすものもあります。国内のほぼ全ての医薬品と当社のサプリとの飲み合わせを瞬時に検索できるデータベースを構築していて、消費者に情報提供する取り組みも進めています。

若者にも「隠れ脳梗塞」…メディカルチェックスタジオ 東京銀座クリニック院長 知久正明氏

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 今年4月、京都府舞鶴市の大相撲春巡業で、あいさつをしていた市長が意識を失い、居合わせた女性が土俵に上って救命処置をしました。いろいろと報道されましたが、医師でもある現役市長が、前触れなく倒れたことこそが重大なことだと感じました。原因は脳の動脈 りゅう が破裂したくも膜下出血でした。

 現在の健康診断では、動脈瘤を見つけることは難しいのです。

 脳の病気をピンポイントで調べる検診「脳ドック」では、早期発見・治療が可能です。MRI(磁気共鳴画像装置)などで脳に異常がないかを検査します。しかし、費用や時間の問題で、受診する人はまだ少ないのが現状です。

 そこで今年1月、脳ドックに特化したクリニックを開きました。費用を抑え、検査結果をスマホで確認できるなど利便性の向上に努めたため、10月末までに1万人が受診しました。

 受診者の約8割が脳ドックが初めてで、20~40歳代も多く、若い人でも、破裂していない動脈瘤や自覚症状のない「隠れ脳 梗塞こうそく 」のケースがありました。専門医への紹介や、生活スタイルの見直しなど早期に介入することで、重症化を予防できました。

 脳の病気は、症状が出た時には、手遅れという場合が多い。だからこそ、未病の段階から、予防をすることが大事なのです。心臓や肺などほかの部位でも同じです。国家ベースで、効果的な検診体制を構築する必要があるでしょう。

産業拡大へ官学と連携…ディスカッション

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企業の取り組みが紹介されたディスカッション

  大谷  未病の分野では、産学官の連携が欠かせません。

  佐藤  日清オイリオグループでは、三重県鈴鹿市、鈴鹿医療科学大と協働で、10食品群のバランスよい食事の研究をしています。健康意識が高い地域、医療系大学と私たちがうまく出会うことができた事例です。東京都健康長寿医療センターと作った無料アプリ「バランス日記」のように産学官協働の成果を、消費者に届けられたらと考えています。

  芦谷  お菓子をもらって、嫌な顔をする人はほとんどいないと思います。「うれしい」とか「よかった」という気持ちになるなど、心の健康につながることも、お菓子のパワーの一つでしょう。そこを産学官が一緒になった研究の場で、エビデンス(科学的根拠)を示しながら進めていきたいと考えています。

  大谷  研究者や大学の役割は何でしょうか。

   未病産業の拡大で大事なのは、一定のエビデンスを示していくことです。今、開発を進めている未病の指標は、個人の行動変容を図るだけでなく、企業の商品開発で客観的な効果測定の物差しにもなりうると思います。大学は、企業と行政、市民を結びつける開かれた研究基盤でもあります。現場のニーズを非常によく知っている企業には、大学を上手に活用してほしいです。

  大谷  行政に対する要望はありますか。

  寺本  サプリメントに関しては、行政はまだまだ取り締まるという立場が強く、一方で消費者には、正しいサプリの選び方や安全情報が伝わっていないと思います。サプリの必要性について、行政側にもしっかりとした認識を持ってほしいと考えています。

  知久  個々人が、健診結果などを「マイカルテ」としてスマートフォンに入れておくと、どこに行っても自分の健康を自分で管理できます。自治体は、健診をやったから終わりではなく、その後どうなったかまでを評価する必要がある。そういったシステムを築くには、自治体や医師会など社会全体での理解も不可欠です。

  大谷  未病は新しい考え方です。病気になる前の段階から、個々人が主体的に行動することが大切です。そのための商品やサービスは、身近で取っつきやすく、おいしくて続けやすいものがたくさんあります。個人と企業が一緒になって、未病の健康観を実現していきましょう。

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