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思春期の子どもを持つあなたに

コラム

第2部「うつ状態」(下)「両親の不仲は自分のせい?」…子どもの罪悪感を解消するために

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友達に関心を向ける余裕もなく

 子どもは児童期と思春期で友達関係の質が変わる。思春期になると、家庭では言えない秘密を仲間と共有し合うようになり、以前よりもはるかに親密で重要な人間関係へと変化する。学校の中での仲間関係がうまくいかないと、いわば「社会的な交流機会」を失うことになり、自分が大人になる道筋の「どのあたりにいるのか」「前を向いて歩んでいるのか」さえもわからなくなってしまう。

 両親の確執がきっかけとなって、B君の心の中にいつも暗い影がつきまとうようになりました。

 その後、「お父さんとお母さんの不仲は、本当は自分のせいかもしれない」との罪悪感が離れず、友達のほうに関心を振り向ける余裕がなくなりました。結果的に、2年生になってから学校内での親しい友人を作ることができず、夢や悩みなどを共有できる仲間が見つけられないことで、自分の現在の立ち位置も、そして将来の目標もわからなくなってしまいました。そして、けんか続きの両親を頼ることもできず、徐々に気力が奪われていきました。

子どもが自我理想を取り戻すために

 「家庭」と「友人・仲間」――。日々、子どもたちが行き来している二つの居場所は、まったく別の空間でありながら、時として重なり合ったり、刺激を与え合ったりして子どもたちの成長を後押しする。不登校や引きこもりは学校における友人・仲間関係にばかり目が行きがちになるが、きっかけが家庭内にあることも少なくない。

 外来にやってきたB君の両親には親ガイダンスを実施しました。

 B君の場合、うつ症状が認められましたが、それは家庭の問題に影響を受けて、B君の自我理想が喪失してしまっているからだと理解することができました。

 まずは家庭内の問題を解決する必要があると考え、「祖母の自宅への介入について夫婦で話し合うこと」、さらに「B君を夫婦げんかに巻き込まない」「進路などについてはB君の意思を尊重する」ことを伝えました。

 その後、両親が話し合った結果、毎日、祖母が家に来ることはなくなり、それに伴って夫婦の間の確執も減少していきました。

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shisyunki-prof200

せきや・ひでこ
精神科医、子どものこころ専門医。法政大学現代福祉学部教授。初台クリニック(東京・渋谷区)医師。前関東中央病院精神科部長。

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