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胆管膜脂肪織炎 経過観察でいいか

 超音波検査で胆管拡張(8.3mm)を指摘されCT検査をしたところ、胆管膜脂肪織炎と所見されました。体調は特に悪くないので経過観察ということになりましたが、大丈夫でしょうか。悪化すると、どのような症状になるのでしょうか。また、今後、気を付ける点がありましたら教えてください。(74歳男性)

良性で多くは自然に軽快 経過観察は妥当

跡見裕 杏林大学名誉学長(三鷹市)

 ご質問の中で、胆管膜脂肪織炎と言われたとのことですが、これは胆管膜でなく肝十二指腸間膜のことだろうと思います。

 超音波検査で胆管の太さが8.3mmであったとのこと。これを明らかな拡張とするかどうかはなかなか難しいところです。胆管の太さの判定には、よくセブンーイレブンの法則が適用されます。7mmまでは正常、11mmからは病的拡張、7~11mmはどちらとも言えないが要注意と考えるのです。

 ただ超音波検査では計測上1mmくらいの誤差は生じることがありますので、この方でも実際は7mmくらいか9mmくらいかの幅があります。一般的に胆管径は年とともに拡張することが知られています。今回は74歳で8.3mmであることから、CT検査を施行されていることは妥当な選択でしょう。

 胆管拡張はほとんどの場合、胆汁の流れが悪くなることによって起こります。胆汁の流れが悪いと、血液検査でアルカリフォスファターゼなどの酵素の異常が認められることが多いです。

 胆汁の流れを悪くする原因は胆管(がん)(すい) 癌、乳頭部癌などの悪性腫瘍、胆石の存在などがあります。ごく (まれ) に先天的な胆管拡張があります。いずれもしっかりとした造影検査やCT検査がなされていればかなり正確に診断がつきますが、それでも早期の癌の診断は容易ではありません。精査のためにはさらに画像検査(MRI、超音波内視鏡検査、胆道・膵管造影検査)などを追加せねばなりません。侵襲的な検査もあることから、CT検査で癌を疑う所見がなければ経過観察をしてもよいでしょう。胆管、膵臓の悪性腫瘍ではCA19-9、CEAが上昇することもありますが、その異常はなかったのでしょう。

 この方は脂肪織炎を疑われているようです。CT検査は脂肪織の変化をよく捉える検査法です。しかし、CT検査で脂肪織炎と確定診断することもむずかしいのが現状ですので、おそらく疑いというのでしょうか。確定診断は組織を採取して顕微鏡で調べて初めてつくことが多いのです。

 脂肪織炎の原因として細菌感染、虚血障害、アレルギー、異物、外傷などが挙げられていますが、よくわかっていません。 腹腔(ふくくう) 内での脂肪織炎は少ないのですが、その中でも肝十二指腸間膜脂肪織炎は稀な病気です。脂肪織炎は良性で、多くの例では経過とともに軽快していきます。

 この方の場合、はっきりとした悪性所見がないようですので、経過観察が選択されているのは妥当であると思われます。超音波検査、血液検査で胆汁 排泄(はいせつ) 障害がないか、胆管は太くなっていないかを最初は3か月、その後半年に1度くらいで検査し異常があれば精査を受けてください。異常がなくても、1年後にCT検査などで精査することが勧められます。主治医の方とよく相談して、計画を立ててください。(日本専門医機構協力)

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