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体の上手な使い方(上)胸椎と股関節を働かせる
年齢を重ねると、体のあちこちが痛くなったり、疲れやすくなったりする。日頃から、体の上手な使い方を意識することで、予防や軽減につなげたい。
「正しい動きをすれば、体を傷めません。見た目も美しくなりますよ」
福岡市中央区の整形外科医院「スポーツ・栄養クリニック」を訪ねると、理事長の武田淳也さん(55)が、骨格標本を示しながら教えてくれた。武田さんは、整形外科医としての経験やドイツ発祥の軽運動「ピラティス」をもとに、独自のエクササイズ「カラダ取説」を考案。2010年に講座を開き、体の動かし方を手ほどきしている。
「体の要となる胸椎と股関節を十分使っていない人が多い」と武田さん。それが首や腰への負担につながっているという。
背骨は 頸椎 、胸椎、腰椎などから成り、胸椎は胸の部分にある12個の骨の総称。首後方の頸椎と腰にある腰椎は曲げ伸ばしがしやすいが、胸椎は 肋骨 とつながっているため、比較的動かしにくい。そのため、後ろを振り向く時などは胸椎を動かさず、顔だけ向けたり腰をひねったりしがちだ。
股関節は脚の付け根にあり、立ち座りする時に曲げ伸ばしする。だが、ものを拾う時など、しゃがまずに腰だけを曲げる人が多い。
胸椎と股関節を働かせるには、姿勢を正すことから始めたい。それには、骨盤を安定させ、その上にある背骨を伸ばして、体の各部にかかる負担を均等にすることが大事だ。
まず、「骨盤トライアングル」が地面に対して垂直になっていることを意識しよう。骨盤トライアングルとは、骨盤の左右にある前に出っ張った「 上前腸骨棘 」と、恥骨を結んだ三角形のこと。この三角形が前後や左右に傾かないようにする。
さらに、姿勢で「ニュートラルポジション」を保とう。耳たぶの後ろの骨「乳様突起」、骨盤の左右の横に出っ張った「 大転子 」、膝、くるぶしの4点がほぼ直線上にくるようにする。鏡で確認したり、誰かに見てもらったりするとわかりやすい。
「信号待ちの間や、電車で立っている時など、生活の中で意識してみてほしい」と武田さんは話す。
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