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難病の子、セラピードッグが癒やす…小児がん病院に派遣、触れ合い広がる笑顔

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 触れ合いを通じて患者の心を癒やしたり、治療意欲を高めたりするセラピードッグを、小児がんや難病と闘う子どもたちのもとに派遣する活動が本格的に始まっている。感染症などの危険性があるとして、まだ医療機関での導入事例は少ないが、長期間入院する子どもや家族のストレスを和らげ、闘病意欲の向上にも役立っているという。

 

感染症対策

 

 セラピードッグが派遣されているのは、全国15施設ある小児がん治療の拠点の一つ、大阪母子医療センター(大阪府和泉市)。小児がんや先天性心疾患など難病の治療を行っており、子どもたちの入院は半年以上に及ぶことも多く、西日本の施設で唯一、セラピードッグを導入している。

 医療センターは2年半前、「命に関わる病気の子どもたちを、セラピードッグで元気付けたい」と、NPO法人「日本レスキュー協会」(兵庫県伊丹市)に派遣を依頼。

 協会は1996年からセラピードッグを育成して被災地などに派遣しており、医療センターの医師や看護師、心理士ら約15人の「QOL(生活の質)サポートチーム」が子どもの心のケアの一環として導入を相談した。

 しかし、入院中の子どもは免疫力が落ちており、「感染症の危険がある」との指摘も出た。このため、同チームや協会は、獣医師の指導で派遣する犬の腸や 口腔こうくう に、感染症につながる菌がいないかの確認を徹底。施設に入る前の消毒などのルールも決め、2016年12月に導入した。

 派遣されたのは、ゴールデンドゥードルの「にこり」、シバ犬の「 海音みおん 」、チワワの「 皆輪みわ 」の3頭。

 最初は病棟とは別の建物の会議室で犬が待機し、希望者が訪問する形でスタートしたが、保護者から「犬に会える日を楽しみにして、治療を頑張れるようになった」と声が上がった。

 感染症などの問題もなく、昨年は2か月に1度のペースで訪問。春には活動場所も小児病棟に移した。

 さらに今年は企業から助成金が得られ、5月から訪問を月2回に増やして活動を本格化。子どもたちは、犬とボール投げや写真撮影を楽しんでいる。

 

治療に前向き

 

 小児がんの一種で昨年12月から約8か月間入院した大阪府泉大津市の男児(3)は、犬との触れ合いを心待ちにしていた一人だ。抗がん剤治療のため抵抗力が落ちて外出が難しく、院内で4回、犬と触れ合った。母親(28)は「犬と会えない日も、一緒に写った画像を何度も眺めていた。家族との会話も増え、苦い薬を飲む治療も前向きになった」と振り返る。

 他にも笑わなかった子どもが、犬との交流でほほ笑むようになるなどの効果がみられたといい、同チームの看護師・川口めぐみさん(45)は「子どもが笑うことで家族の笑顔も増え、療養環境が良くなった」と手応えを語る。

 課題は活動資金だ。現在の月2回の派遣で年約150万円かかる。企業からの助成金や協会への寄付で賄っているが、活動の継続には資金の確保が欠かせない。

 日本レスキュー協会の今井雅子さん(41)は「病院にセラピードッグを常駐させることが目標。寄付を募り、犬の育成も進めたい」と話している。問い合わせは同協会(072・770・4900)。

          ◇

【セラピードッグ】  病院や高齢者福祉施設などで、患者の闘病への気力を高めたり、心と体を癒やしたりする犬。統一した認定基準はないが、日本レスキュー協会では、指示を的確に実行できることや、人に触れられてもパニックにならないことなどを条件に認定している。

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