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子どもの逆流性食道炎…1歳から服用可能な薬も

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子どもの逆流性食道炎…1歳から服用可能な薬も

 胸やけなどの症状が出る逆流性食道炎は、子どもでも発症するが、あまり知られていない。かかっても気付きにくく、子ども用の薬も少なかったが、今年、成人用の薬が1歳から服用できるようになった。

  患者4万人

 口から食べたものは胃に送られ、胃酸などによって、小腸で吸収しやすい状態に分解される。逆流性食道炎は、胃酸が逆流し、食道に炎症が起きる病気だ。ストレスや食の欧米化、胃の圧迫など、原因は多岐にわたる。

 逆流を繰り返すと食道がただれ、「酸っぱい液体が上がってくる」「みぞおちのあたりがしみる」などの症状が出る。症状はあるが、ただれがないものも合わせて、「胃食道逆流症」と呼ばれる。

 胃食道逆流症の患者は推計で15歳以上が約1344万人、子どもは約4万人いるとされる。

 長野県上田市のAさん(14)は2016年4月、 嘔吐おうと を繰り返した。1か月たっても症状はなかなか治まらなかった。母親は食事に気を配っていたが、医師から「食べさせているものが悪い」と叱られた。

 約半年後、別の病院で紹介された信州大病院(長野県松本市)を受診し、逆流性食道炎と診断された。

 同病院小児科講師の中山佳子さんは「子どもの場合、症状をうまく訴えることができなかったり、内視鏡検査を行える医師が少なかったりするため、診断に何年もかかるケースがある」と指摘する。

 また、周囲から「嘔吐や腹痛といった症状が出るのは、学校に行きたくないからではないか」などと責められ、苦しむ親子も少なくないという。

 逆流性食道炎は、放置すると食道の粘膜が傷つき、出血して貧血を起こしやすくなる。嘔吐を繰り返すと十分に栄養を摂取できず、成長に影響を及ぼすこともある。

 子ども用の薬は限られており、Aさんは当時、成人用しかなかった「ネキシウム」という薬を服用した。胃酸の分泌にかかわる「プロトンポンプ」という物質にくっつき、分泌を抑える働きがある。飲み続けると症状は改善した。

  水に溶かすタイプ

 中山さんは「治療効果を考え、やむなく処方した。用法・用量が定められていない子どもへの使用は、安全性が確立されていないのでリスクを伴う。万一、副作用が出ても、国の救済制度の対象にはならない」と話す。

 こうした状況を受け、1~14歳の逆流性食道炎などの患者50人を対象に、ネキシウムの有効性と安全性を確かめる治験が行われた。薬を1日1回、8週間飲んでもらった結果、胸やけやおなかの不快感などの症状は改善し、薬が原因と考えられる重い副作用も出なかった。

 今年1月、ネキシウムが1歳以上で使えるようになった。4月には、従来のカプセル剤に加え、子どもや高齢者でも飲みやすいように、水に溶かして服用するタイプが発売された。

 逆流性食道炎の治療は長期に及ぶこともある。ネキシウムは服用できる期間が限られており、現在、子どもが、より長く使っても安全かどうかを確かめる治験が進められている。

 (利根川昌紀)

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