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妊娠・育児・性の悩み

第4部[あしたの夫婦像](2)「両立したい」学生に定着

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女子の7割、男子の5割が共働き希望

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 「仕事と家庭を両立する上で、あって良かった制度は」「職場に妊娠を報告しづらくなかったですか」

 関西大で11月末にあった女子学生対象の就職セミナー。企業側の女性社員との交流会では、熱心に質問する学生の姿が目立った。文学部の3年生(20)は「育休復帰後もやりがいのある仕事ができるか、子育てに職場の理解が得られるかに関心がある」と話した。

 関西大キャリアセンターの岡田裕子さんは「結婚や出産を経ても働き続けるという意識は、学生の間でかなり定着している」とする。

 国立社会保障・人口問題研究所が2015年に実施した出生動向基本調査では、第1子出産後の妻の就業継続率は53%。1980年代後半以降、4割前後で推移していたが、初めて半数を上回った。

 若い世代も共働きに前向きだ。就職情報大手「マイナビ」が2019年卒業予定の大学生に行った調査では、女子の7割、男子の5割が共働きを希望。時間内に仕事を終え、育児参加する男性を「かっこいい」としたのは男女とも9割に上り、「育休を取って子育てしたい」など子育てに積極的な回答は8割を超えた。

 来春、航空会社に就職予定の神戸大4年の男子学生は「子育てなどで一時的に自分のキャリアが伸ばせない時期があってもいい。妊娠出産は女性に負担が偏るので、家事や育児は分担するのがフェアだと思う」と言う。

企業もアピール

 こうした学生の意識は、企業の採用活動にも影響を与えている。

 「以前なら働き方や福利厚生のことばかり質問する学生には『 ×バツ 』を付けていた」と、通信会社で採用担当をしていた女性は明かす。現在は売り手市場も相まって状況は一変。「いかに優秀な学生に来てもらうか。働き方についてもどんどん質問して、不安を解消してもらう方がいいという流れになっている」

 21年に新卒採用の女性比率を5割に引き上げる方針を掲げるハウス食品は、男性の育休取得促進に力を入れ、17年度は対象社員の56%が利用。15年度から約40ポイント増加しており、採用活動でも実績を強調する。学生からの反応は良く、志望者増にもつながっているという。

 就職支援サービスを提供する「i―plug(アイプラグ)」は、「学生にとって制度があるのは当たり前。どの程度利用され、自分がどうキャリアアップできるかに目を向けている」と分析する。

家庭「留学」で不安解消

 キャリア支援を行う「manma(マンマ)」は、子育て中の共働き家庭を学生が1日訪問する「家族留学」を15年に始めた。共働きが増える一方、妻が1人で育児を担う「ワンオペ育児」など負の側面も取り上げられる中、両立のイメージを深め、不安解消の糸口にしようとの試みだ。

 電機メーカーに内定した関西学院大4年の松田彩花さん(21)は、海外でのビジネスに興味を持つ。「子育てをしながら、海外で仕事ができるのか」。何かヒントが得られればと参加した。

 訪ねたのは、小学1年と保育園児のいる大阪府内の夫婦。この日は日曜で、松田さんは室内を走り回る子どもたちに付き合い、ボール遊びやヒーローごっこの相手をした。「仕事から疲れて帰ってきて同じことができるかな」。時短勤務する妻(33)からは「子育てにはゴールがある。いずれ仕事に専念できる日が来ると思って、今やれることを頑張っている」と聞いた。

 松田さんは「答えが見つかったわけじゃないけれど、『どうにかなるかも』と思えてきた」と笑顔を見せた。

 家族留学にはこれまで、延べ420人以上が参加。体験後も、悩みや不安を相談できる関係が続いている人も少なくない。受け入れ側の家庭からは「改めて自分のキャリアを考える機会になった」などの声が寄せられている。

 manma代表で大学院2年の 新居におり日南恵ひなえ さん(24)は「学生は結婚や子育てについて学ぶ場がほとんどなく、ネット情報などのイメージだけで就職という大きな選択に向き合っている。若い世代と子育て世代をつなぐことが未来の共働き家庭を支えることになるはず」と話す。

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 〒530・8551読売新聞大阪本社生活教育部「共に働く」係へ。ファクス(06・6365・7521)、メール(seikatsu@yomiuri.com)でも受け付けます。ツイッターは https://twitter.com/o_yomi_life_edu

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tomonihataraku-500

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結婚、出産後も働き続ける女性が増える一方、育児との両立の難しさやキャリアアップを描きにくい現状はあまり変わりません。女性が真に活躍するために何が求められているのか。現代の「共働き事情」を描きます。

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