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その医療 ホントに要りますか?

コラム

コレステロールの影響に男女差 女性はあまり気にする必要なし!?

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 健康診断でコレステロールが高い、と言われて気にしている人は多いでしょう。中には薬を飲んでいる人も少なくありません。しかし、コレステロールの影響は性別や年齢によって大きく異なり、数値が高くても治療が必要とは限らないのです。

重要なのは動脈硬化の進み具合

 コレステロール値が高いのが問題とされるのは、血管が硬くなって詰まりやすくなる動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞になりやすいとされているからです。

 では、健診のどの数値を注意すべきでしょうか。日本動脈硬化学会の脂質異常症の診断基準では、LDLコレステロールが140(単位はmg/dl)以上の場合、高LDLコレステロール血症と診断されます。LDLコレステロールは、「悪玉コレステロール」とも言われます。

 しかし、この数値を超えるとただちに治療が必要になるわけではありません。男性では、数値が高いほど心筋梗塞などが増えるという関係がありますが、女性の場合、そうした関係が見られないからです。

 重要なのは、コレステロールの数値ではなく、実際に動脈硬化が進んでいるかどうかを調べることです。

 この問題に詳しい循環器専門医の田中裕幸医師(佐賀県・ニコークリニック院長)によると、動脈硬化の進み具合の判定に適しているのが、首にある動脈(けい動脈)を超音波検査装置で調べる方法です。動脈硬化が進むと、血管の壁が厚くなります(「肥厚」と言います)が、この肥厚が一定以上の場合に動脈硬化が進んでいると判定します。

 田中医師によると、女性の場合、LDLコレステロールが140を超えても、頸動脈の肥厚が大きくなる傾向が見られず、動脈硬化は進んでいませんでした。

 ただ、数値が180を超えると、一部の人に血管壁の肥厚が見られるため、180以上の場合は治療を考慮する、と言います。

 米国の治療指針では、喫煙や高血圧などの動脈硬化の危険因子がない場合、治療の対象になるのは、LDLコレステロール190以上だとしています。日本の学会の指針でも、LDL180以上の場合に薬物療法を考慮する、とされています。

LDL185でも治療せず元気

 実際の患者の例で見てみましょう。

 67歳の女性は、50歳代前半の時に「コレステロールが高い」と言われて田中医師を受診しました。当時、総コレステロール260、LDL168と高めでしたが、頸動脈の超音波検査では肥厚がなく、治療せずに様子を見ることにしました。それから13年、定期的に診察を受けていて、総コレステロール288、LDL185と、やや数値は上がっています。これは一般的にはかなり高いとされる数値ですが、頸動脈には依然として問題がなく、今も治療しないまま元気で過ごしています。

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tanaka200

田中秀一 (たなか・ひでかず)

 医療情報部(現医療部)、社会保障部、論説委員、編集局デスクを経て現職。長期連載「医療ルネサンス」を18年担当、現代医療の光と影に目を凝らしてきた。「納得の医療」「格差の是正」をテーマとしている。

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2件 のコメント

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数値より真のアウトカム・疾患予防が重要

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女性の閉経後のコレステロール上昇はよく知られていますが、日本人女性は心疾患リスクが欧米よりもずっと低く、スタチンでの一時予防はほとんど見込めません。糖尿病等の高リスク患者でなければ、治療必要数(NNT)は、500以上ともいわれています。

また、本記事で記載されている頸動脈エコーについても、真のアウトカムではなく代用アウトカムに過ぎません。症状のない方に対する頸動脈エコーのスクリーニングの有用性と害についてのエビデンスは現時点では不十分と認識しています。

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血圧でも同様の問題がありますが、測定ミス、測定誤差、個体差なんかが忘れ去られて実際に臓器や支配血管がどれくらい傷んでいるかの評価がもっと大事なことが知られていません。
数値は指標であって絶対的なものではないのです。

今は多くの生活習慣病が全身の血管の疾患と考えられていて、表面にあり、かつ倫理的にも扱いやすい頸部エコーの全身血管の評価の指標としての価値は高まっています。

血圧の数値目標もそうですが、そういう所を切り口に国民が健康に関心を持ち救急車に乗る前に医療機関でリスク管理をされるようになればと思います。

当然かかりつけ医の手に余るような検査もあるかもしれませんが、毎月のように大掛かりな検査が必要な人は極めて稀ですので、かかりつけ医が大病院に患者を取られると無用に怯えられる必要もないと思います。

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