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心療眼科医・若倉雅登のひとりごと

医療・健康・介護のコラム

「光の線がキラキラ」「砂嵐」 邪魔なものが見える「視覚陽性現象」は多様

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 前回は、片頭痛に関連してギラギラした光が見える 閃輝暗点(せんきあんてん) など、視野に邪魔なものが出現する「視覚陽性現象」を解説しました。私の外来には、その典型例ばかりではなく、もっとバリエーションに富んだ視覚陽性現象を体験した方々が受診します。

光の線が上下に動きながら輝き、目を閉じても消えない

 白内障の手術後、そろそろ1年が経過する70歳代の女性。朝起きると上の方に光の線がいくつか見え、それが上下に微妙に動きながらキラキラと輝き、目をつぶっても消えませんでした。手術で入れた眼内レンズの異常ではないかと心配して来院しました。

 その現象は5分くらいで消え、以後は起きていないそうです。私は閃輝暗点の不全型だと思い、念のため、頭痛の有無を聞きますと、その朝は頭が重かったということですが、若い時から、頭痛はほとんど経験したことがないそうです。ただ、亡くなった姉が頭痛持ちだったとのことでしたので、私の「閃輝暗点の不全型」という判断は正しいものだと考えています。

視野に砂嵐や残像 家族が頭痛持ち

「光の線がキラキラ」「砂嵐」 邪魔なものが見える「視覚陽性現象」は多様

 視野の中に砂嵐がいつも見えるようになって困っている、という訴えで来院されたのは22歳の男性。1年前に家の中で頭部を打ってからひどくなったそうです。子供の頃から授業中は落ち着いて座っていられず、発達障害の診断で薬物治療も受けていました。母親は頭痛薬を手放せなかったそうです。

 30歳の女性も砂嵐が常に見える症例です。幼い頃からありましたが、誰にでも起きることだと思っていました。2年前に急に仕事が忙しくなると、脈打つ頭痛が時々生じ、同時に砂嵐も次第に激しくなってきたとのことで受診されました。母と妹も片頭痛を持っていました。

 この2例に共通する他の特徴は、残像が出やすいことと、音などに対する感覚過敏があることでした。

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201505_第4回「読売医療サロン」_若倉

若倉雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院(東京・御茶ノ水)名誉院長
1949年東京生まれ。北里大学医学研究科博士課程修了。グラスゴー大学シニア研究員、北里大学助教授、井上眼科病院副院長を経て、2002年から同病院院長。12年4月から現職。日本神経眼科学会理事長、東京大学医学部非常勤講師、北里大学医学部客員教授などを歴任。15年4月にNPO法人「目と心の健康相談室」を立ち上げ副理事長に就任。「医者で苦労する人、しない人 心療眼科医が本音で伝える患者学」、「絶望からはじまる患者力」(以上春秋社)、「心療眼科医が教える その目の不調は脳が原因」(集英社)、医療小説「茅花流しの診療所」、「蓮花谷話譚」(以上青志社)など著書多数。専門は、神経眼科、心療眼科。予約数を制限して1人あたりの診療時間を確保する特別外来を週前半に担当し、週後半は講演・著作活動のほか、NPO法人、患者会などでのボランティア活動に取り組む。

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