在宅訪問管理栄養士しおじゅんのゆるっと楽しむ健康食生活
コラム
忘年会シーズン到来!健康的な宴会食事法とは
先月、娘の小学校の学習発表会へ参加してきました。校長先生が「みなさん。平成最後の学習発表会です!」とお話ししたとき、思わずふき出してしまいました。平成20年代に生まれた小学生に「平成最後の」と言っても、しみじみはしないでしょうね。
「平成」が始まったころ、私は小学校高学年でした。10代から30代を過ごした「平成」は、私にとって「青春そのもの」でした。一生懸命勉強し、部活や恋愛、そして仕事と、いろいろなことにチャレンジした時代でした。古い友人に会うと、そんな懐かしい話題に花が咲きます。
今年の忘年会は、「平成最後の忘年会」ですね。
健康的な宴会メニューのお店を探そう
さて、大人数での忘年会では、居酒屋さんの「飲み放題付き宴会コース」を利用することが多いと思います。揚げ物が多く、エネルギー量が過剰になりがちなコースです。可能であれば、ぜひ幹事を引き受けて「お店選び」からこだわってみてはいかがでしょうか。
お薦めの居酒屋さんは「野菜料理を売りにした和総菜系」「新鮮な魚介類が食べられる海鮮系」、または「サラダの種類が豊富なイタリアン」などです。インターネットで「野菜 居酒屋 仙台」と検索すると、私の地元でもたっぷりと野菜を食べられるお店がたくさん出てきました。地元のおいしい野菜を使ったお店もあり、「地産地消」で農家さんを応援することにもつながりますね。
私が飲み会の幹事を引き受ける場合は、コース料理の差し替えが可能かどうかを確認することもあります。例えば、「ポテトフライをサラダや浅漬けへ変更」などができれば、揚げ物を減らすことで、全体のエネルギー量を下げることができます。
宴会料理は率先して取り分けよう
コースに入っている揚げ物なら、天ぷらやフライよりもから揚げの方が衣の吸油量を抑えられます。例えば、鶏肉の場合、フライにしたときの吸油率は食材の重さの14パーセントというデータがあります。片手に半分ほどの大きさの鶏肉をフライにすると、約90キロカロリーもの油が衣にまとわりついてしまうのです。対して、鶏のから揚げの吸油率は1パーセントですので、同じ量の鶏肉であれば揚げ油のエネルギー量は6キロカロリーとなります。フライの場合、衣を外して食べればエネルギー量を減らせます。ただ、せっかくの楽しい宴会の場で、いちいちエビフライなどの衣を外しはじめたら、場の雰囲気がしらけてしまいそうですね。
また、「サラダ」と名前がついていても、糖質と脂質がたっぷり含まれている料理もあります。野菜の量が少ない「ポテトサラダ」「パスタサラダ(マカロニなど)」などです。コース料理にこれらのサラダが出た場合、私はご飯ものや麺類を残すようにしています。
宴会では、サラダや揚げ物などが大皿で盛り付けられて提供されることが少なくありません。そんなときには「取り分け役」を買って出ましょう。野菜類は少し多めに、揚げ物や 炒 め物などエネルギー量の高い料理は少なめに盛ることで摂取量を控えることができます。同じコース料理でも、料理の取り方によっては数百キロカロリーもの差が生じることがあります。
シメのラーメン……、誘惑に負けないで
さて、「シメのラーメンは宴会のあとのお 愉 しみ」という方には耳の痛いお話です。宴会のあとのラーメンは「糖質と脂質と塩分」を過剰に摂取してしまうので、控えた方がいいでしょう。宴会でお酒と料理をしっかり食べたのに、その後にラーメン店に入ってビールとギョーザを注文。さらにラーメンまで食べてしまう男性は少なくありません。
私が以前訪問していたある50代の男性は、脳梗塞の後遺症で寝たきりの生活でした。「俺は、酒を毎日たらふく飲み、たばこを吸い、宴会のあとはいつもシメのラーメンを食べていた。健康診断でもひっかかっていたよ。でも気にもとめずに好きなように食べていた。今はもうラーメンは無理だね。あのとき、もっと自分の健康をまじめに考えていたら、こんなことにならなかったのかな。娘から『お父さんは乱れた食生活をしていたからこうなったのだ』と責められてしまってね。返す言葉もないよ」と話していました。
健康は失ったときにその大切さに気が付くものです。将来、「あのときに……」と後悔しないように、健康的な食習慣を意識しながら宴会を楽しみたいものです。(在宅訪問管理栄養士 塩野崎淳子)
参考文献
「調理のためのベーシックデータ第5版」「外食・コンビニ・惣菜のカロリーガイド」「外食・テイクアウトのカロリーガイドブック」すべて女子栄養大学出版部
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