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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

コラム

認知症になっても体が覚えてる? 絶妙の足運びで転倒回避

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漫画・日野あかね

散髪中に雑誌を開く姿は、まさに「あるある」

 父さんが通っているデイサービスには月に1度、理容師さんが出張してきて、施設内で髪を切ってくれます。散髪には介護保険が使えないので全額自費ではあるものの、家族にはありがたいことこの上ないこのサービス。もちろん父さんもお世話になっています。

 ところが今月はショートステイ(デイサービスとは違う施設)を利用するタイミングと重なってしまい、散髪してもらうことができませんでした。そこで母さんから私にヘルプ要請が入り、近所の床屋さんへ父さんのお供をすることになりました。

 久々の理容店での散髪に、父さんが困ったことを言い出したりしないかドキドキしていました。ですが、店主に促されて鏡の前に座った父さんは、目の前に置かれた雑誌を手に取り、黙ってそれを読み始めたのです。その光景はまさに「床屋さんのお客さんあるある」でした。

自然な振る舞い…本当に読んでいたかは「?」だけど

 そんな父さんに、私はすごく驚きました。なぜなら、認知症が進むにつれ、父さんは字を読むことが少しずつ困難になり、以前はあんなに読みまくっていた新聞も、ここ最近は読むことがほとんどなくなっていたからです。それなのに、父さんはいかにも床屋さんのお客さんらしい行動をスマートに行い、その空間に溶け込んでいるではありませんか!

 その自然な様子に、他のお客さんは父さんが認知症だとは気づかなかったに違いありません。雑誌を本当に読んでいたかどうかは不明ですが、父さんが床屋さんのお客さんらしく振る舞っている間に散髪が済んで、私の心配はムダに終わったのです。

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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

岡崎杏里(おかざき・あんり)
 ライター、エッセイスト
 1975年生まれ。23歳で始まった認知症の父親の介護と、卵巣がんを患った母親の看病の日々をつづったエッセー&コミック『笑う介護。』(漫画・松本ぷりっつ、成美堂出版)や『みんなの認知症』(同)などの著書がある。2011年に結婚、13年に長男を出産。介護と育児の「ダブルケア」の毎日を送りながら、雑誌などで介護に関する記事の執筆を行う。岡崎家で日夜、生まれる面白エピソードを紹介するブログ「続・『笑う介護。』」も人気。

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日野あかね(ひの・あかね)
 漫画家
 北海道在住。2005年にステージ4の悪性リンパ腫と宣告された夫が、治療を受けて生還するまでを描いたコミックエッセー『のほほん亭主、がんになる。』(ぶんか社)を12年に出版。16年には、自宅で介護していた認知症の義母をみとった。現在は、レディースコミック『ほんとうに泣ける話』『家庭サスペンス』などでグルメ漫画を連載。看護師の資格を持ち、執筆の傍ら、グループホームで介護スタッフとして勤務している。

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