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コラム

「いのちの値段 医療と費用を巡る50の物語」 読売新聞医療部著

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「いのちの値段 医療と費用を巡る50の物語」 読売新聞医療部 著

 シリーズ「いのちの値段」は、2017年1月から08年7月にかけて、読売新聞朝刊の看板連載「医療ルネサンス」に掲載された。1冊にまとめるに当たり、前書きやプロローグ、巻末対談を加え、大幅に加筆した。

 医療は、人々の暮らしのなかに影のように寄り添って存在する。だからこそ、医療と医療費を巡る現場には、現代社会のゆがみが凝縮される。「いのち」と「値段(生きるための費用)」が織りなす社会の断面を、市井に生きるサイレント・マジョリティーの痛みを共有しつつ、50の物語で描いた。

 戦後を生きた作詞家、高額のがん治療新薬「オプジーボ」にいのちを託した母親、衰退する地方都市の街と一緒に成長し、老いた高齢男性、8年間で4人の親を看取みとった夫婦、統合失調症で32年間、精神科病院に入院した男性、原因不明の激痛に苦しみ、11の医療機関を転々とした女性……。果ては、資産を持つバブル紳士も、家族の病の前に同じように苦しむ。 

 それぞれの生をかみしめ、他者を思いやる彼らは、それでいて、ごくふつうの人たちだった。そして、記者たちも、こんな思いに至る。

 人は、生き、そして、病む。病むからこそ、死があるからこそ、分かること、人と分ちあうことがある。「いのちの値段」を前に、人は、切ないが、あったかい、と。

 時代も社会も、大きな転換点を迎えている。昭和から平成へ、時代を生き抜いてこられた方々の言葉に耳を傾け、生きるヒントを探るための1冊。

 (講談社 1300円税別)

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