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心療眼科医・若倉雅登のひとりごと

コラム

芥川龍之介も経験 片頭痛の前兆で視野の一部がギラギラ

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目の症状のみの「頭痛がない片頭痛」の場合も

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 ところで、閃輝暗点だけで頭痛が生じない「典型的前兆のみで頭痛を伴わないもの」と国際頭痛分類で呼ばれているものもあります。以前は、これを「頭痛のない片頭痛」などと呼んでいたこともあります。

 はじめから頭痛をほとんど経験せず、閃輝暗点だけが出現するタイプもありますが、私が外来でよくみるのは、閉経期をすぎた高年女性の閃輝暗点です。

 若い時には片頭痛と思われる発作が時々起こっていたという人もいます。片頭痛自体は、通常若い時には頻発しますが、閉経後は明らかに減るものです。ところが、閃輝暗点だけが残ったり、片頭痛が「頭痛のない片頭痛」である閃輝暗点に変化したりしたものではないかと思われます。

視野欠損なら片頭痛と無関係な脳や目の疾患の可能性

 あまり頻回に生ずる場合は、頭部MRI(磁気共鳴画像)を検査したり、神経内科などで器質的疾患を探してもらうこともありますが、いまだかつて脳内病変が見つかった人はいません。

 いずれにせよ、閃輝暗点は、昔からよく知られている典型的な視覚陽性現象(視野に邪魔者が出現する場合を陽性現象という)です。

 片頭痛とは無関係で、むしろ脳や目の疾患の予備軍の可能性を考えなければいけないのは、視覚陰性現象のほうです。

 たとえば、急に片目の下半分の視野が欠損するとか、視野全体が真っ暗になる(濃い紫色に暗くなると表現した方もいます)というように、視野の中が光るのでなく、暗くみえない部分(つまり陰性部分)が出現する場合です。一過性(数秒から数分)のもので、元に戻ることが多いですが、時間が長くなるのは、その間、必要な循環が低下している可能性を示唆しますので、注意信号の症状です。(若倉雅登 井上眼科病院名誉院長)

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201505_第4回「読売医療サロン」_若倉

若倉雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院(東京・御茶ノ水)名誉院長
1949年東京生まれ。北里大学医学研究科博士課程修了。グラスゴー大学シニア研究員、北里大学助教授、井上眼科病院副院長を経て、2002年から同病院院長。12年4月から現職。日本神経眼科学会理事長、東京大学医学部非常勤講師、北里大学医学部客員教授などを歴任し、15年4月にNPO法人「目と心の健康相談室」を立ち上げ副理事長に就任。「医者で苦労する人、しない人---心療眼科医が本音で伝える患者学」、「健康は眼に聞け」「絶望からはじまる患者力」(以上春秋社)、「目の異常、そのとき」(人間と歴史社)、医療小説「茅花流しの診療所」(同)など著書多数。専門は、神経眼科、心療眼科。予約数を制限して1人あたりの診療時間を確保する特別外来を週前半に担当し、週後半には講演・著作活動のほか、NPO法人、患者会などでのボランティア活動に取り組む。

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