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力入らず寝たきり4か月、まだ指震えるが…式守与之吉、難病乗り越え再び軍配

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力入らず寝たきり4か月、まだ指震えるが…式守与之吉、難病乗り越え再び軍配

九州場所で復帰した式守与之吉=久保敏郎撮影

 大相撲の幕内格行司、式守与之吉(50)(本名・菊池浩、宮城野部屋)が、手足に力が入らなくなる難病「ギラン・バレー症候群」を乗り越え、九州場所で本場所復帰を果たした。指先の震えが残るなど回復は道半ばだが、「多くの人に支えられて戻ってこられた」と、感謝の思いを胸に土俵を務めている。

 宮城県出身で、中学卒業を機に角界入り。所作に品があり、細身で行司装束が似合うと定評がある。

 変調に気付いたのは昨年12月の宮崎巡業中だった。体が重いと感じ、「風邪かな」とホテルに戻ったが、翌朝は体に力が入らず着替えもままならなくなった。 末梢まっしょう 神経に障害が起きるギラン・バレー症候群と診断された。車いすで帰京。入院し、1日10時間の点滴を5日連続で受けた。

 ほぼ寝たきりの生活が約4か月続き、体重は10キロ以上、落ちた。当初は手足を動かせず、ティッシュさえつまめなかった。「行司復帰どころか、人として生活できるのか」。大相撲を見るのが苦痛で、中継が始まるとテレビの前から離れた。

 歩行練習を4月から始め、少しずつ前向きな気持ちを取り戻した。投げられたボールをよけて左右の動きと反射神経を回復させた。

 6月に退院した後も水中歩行などで脚力を鍛え、下半身は安定した。ただ、握力は左右とも10キロ程度。6場所ぶりに復帰した九州場所では、所有する5本の軍配のうち最も軽い500グラムの物を使った。

 大病を経験し、仕事に懸ける気持ちはより強くなった。「取組をさばく時は勝負をしている。差し違えは負け。その日々を定年の65歳まで続けたい」。静かに、熱く戦っている。(山口博康)

          ◇

【ギラン・バレー症候群】  末梢神経の自己免疫疾患と考えられ、四肢の筋力の急激な低下、目や口、喉の筋肉の動きなどに障害が起きる。国内では年間10万人に1人程度の割合で発症するとされる。

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