教えて!ヨミドック
ニュース・解説
難聴で認知症のリスク上昇?
補聴器で予防の可能性
Q おじいちゃんが最近、耳が遠くなったって。
ヨミドック そうなんですね。昨年、英国の医学誌「ランセット」に、認知症に関する報告が掲載されました。9項目の対策が可能なリスク要因として、高血圧や肥満、喫煙などとともに、難聴も挙げられました。
Q どうして難聴が認知症のリスクになるの?
ヨ 聞こえにくい状態になると、頑張って聞き取ろうとするため、脳の働きのうち聞く作業の負担が重くなり、記憶を定着させるなどの働きが弱まるとの説があります。ほかにも孤立やうつを招き、脳への刺激が減るという説、難聴と認知症の原因が共通しているとの説もあります。これらが複雑に関係し合っていると考えられています。
Q 難聴は防げるのかな。
ヨ 加齢に伴う難聴は誰にでも起こりえます。進行を遅らせるには、大音量でテレビを見たり、音楽を聴いたりしないこと。血流の悪化などが影響するため、禁煙や生活習慣病予防も大切です。
Q 難聴になってしまったら。
ヨ 孤立やうつを防ぐためにも、放置せずに補聴器を使うことを検討した方がいいでしょう。購入する場合は、耳鼻咽喉科を受診して聴力検査をしてください。補聴器を使うことが、認知症予防にも役立つのではないかと期待されており、効果を検証中です。

Q 補聴器ですぐに問題なく聞こえるようになるの?
ヨ すぐにというわけにはいかないでしょう。聞こえにくい状態が続いた脳は、様々な音を必要か不要か判断する力が鈍っています。最初は水を流す、紙をめくるといった生活音も不快に感じます。でも定期的に通院し、補聴器の調整や言語聴覚士によるリハビリを受ければ、3か月ほどで慣れるでしょう。
Q おじいちゃんには、観光ガイドのボランティアを元気に続けてほしいな。
ヨ 生きがいを持つことは大事です。補聴器を途中でやめないように、周りも「慣れるまで頑張ろう!」と励ましてあげましょうね。
(中島久美子/取材協力=内田育恵・愛知医科大学耳鼻咽喉科特任准教授、三瀬和代・帝京大学溝口病院言語聴覚士)
ヨミドックは読売新聞の医療サイト・ヨミドクターのお医者さんキャラクターです。