文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

僕、認知症です~丹野智文44歳のノート

yomiDr.記事アーカイブ

当事者と考える”認知症にやさしいまち”…東京・町田で「Dサミット」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック
当事者と考える「認知症にやさしいまち」…東京・町田で「Dサミット」

 認知症の人にやさしいまちづくりがテーマの「まちだDサミット」が11月24日、東京都町田市で開かれ、私も参加してきました。

 市の主催ですが、担当職員だけでなく、認知症に関わりのある事業所や団体の人、学生などが運営側として参加しました。その数は70人を超え、会場の至る所にオレンジ(認知症サポートのシンボルカラー)のTシャツを着たスタッフの姿がありました=写真=。

 午前中に私が講演し、認知症と診断されてからの経験や、これまでの活動を通じて感じていることなどを語りました。その後、町田市で活動する5人の当事者によるパネルディスカッションに加わり、司会を務めました。

認知症のパネリストから様々な声

id=20181126-027-OYTEI50016,rev=3,headline=false,link=true,float=right,lineFeed=true

壇上だけでなく、客席にも当事者がたくさんいました

 ステージの上では、各人が財布や免許証をなくしたり、バスの乗り方が分からなくなったりといった経験を語ると、互いにうなずきながら聞いていました。「私たちは、道に迷うこともあるが、ちゃんと目的があって歩いている。だから『徘徊はいかい』という言葉は使ってほしくない」「自分でできることは自分でやらせてほしい」「安心して暮らせるまちづくりは、住民同士のあいさつや気軽な声かけから」という意見には、私も大いに賛同しました。

 一方で、客席からの「道に困っている時は助けたいと思うが、相手が認知症で、いま困っているということに周囲が気づくにはどうしたらいいか」という質問に対しては、考え方が分かれました。そういう場合、私自身は「若年性アルツハイマー本人です」と書いた自作のカードを見せて道を教えてもらうようにしているのですが、他の登壇者からは、「自宅への帰り道を尋ねたりしたら、『いい年をしたおじさんが、変なことを言っている』と思われるんじゃないかと考えてためらってしまう」という声が上がっていました。

「良い経験」が背中を押してくれる

 私は、カードを見せるようにしたら、みんなが親切に助けてくれるようになったので使い続けているのです。他の当事者もそういう良い経験をすれば、カードを使ってみようという気持ちになるのかもしれないな……と思いました。

 認知症の人なら誰もが共感する部分もあれば、認知症だからといってひとくくりにできない部分もあります。これまで何百人もの当事者に出会って、そのことがだんだんと分かってきました。

 そのせいか、「なんだか最近、ズバッと発言するようになったね」と言われます。診断されたばかりの頃は、自分の考えが、当事者の多くが感じていることなのか、それとも自分一人だけに当てはまることなのかがよく分からず、自信がなかったのだと思います。

1 / 2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

tanno_200eye

丹野智文(たんの・ともふみ)

 おれんじドア実行委員会代表

 1974年、宮城県生まれ。東北学院大学(仙台市)を卒業後、県内のトヨタ系列の自動車販売会社に就職。トップセールスマンとして活躍していた2013年、39歳で若年性アルツハイマー型認知症と診断を受ける。同年、「認知症の人と家族の会宮城県支部」の「若年認知症のつどい『翼』」に参加。14年には、全国の認知症の仲間とともに、国内初の当事者団体「日本認知症ワーキンググループ」(現・一般社団法人「日本認知症本人ワーキンググループ」)を設立した。15年から、認知症の人が、不安を持つ当事者の相談を受ける「おれんじドア」を仙台市内で毎月、開いている。著書に、「丹野智文 笑顔で生きる -認知症とともに-」(文芸春秋)。

僕、認知症です~丹野智文44歳のノートの一覧を見る

最新記事