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大人の健康を考える「大人び」

コラム

認知症予防(9) 叱責せず 優しく接する

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このシリーズでは、日本認知症予防学会理事長の浦上克哉・鳥取大教授に聞きました。(聞き手・諏訪智史)
認知症予防(9) 叱責せず 優しく接する

 いよいよ最終回です。認知症の初期段階では、おとなしかった人が急に怒りっぽくなったり、 徘徊はいかい したりするなど、自分の行動を制御できなくなる「周辺症状(BPSD)」が表れることがあります。家族など周囲の人が本人の気持ちを尊重し、安心できる環境を整えることで症状を軽減できる可能性があります。

 まず大切なのは、「なぜ忘れるの」などと叱責しないことです。認知症になっても、嫌な思いをしたという感覚は消えずに残ります。もの忘れによる失敗をしても、「大丈夫だよ」と周囲が優しくフォローすることで、本人の行動意欲も高まり、進行を抑えることにつながります。

 急な環境変化を避けることも大切です。家族が認知症と診断された場合、介護施設への入所を考える人もいると思います。

 しかし、認知症の人が、いきなり見知らぬ人と暮らすと不安や混乱が生じ、周辺症状が表れやすくなる恐れがあります。家族が同居できる環境であれば、少しでも長く自宅で治療やケアを続けることを勧めます。

 認知症予防には、〈1〉発症そのものを防ぐ〈2〉発症を早期発見し、適切な治療をする〈3〉現状より進行しないよう食い止める――という幅広い意味があります。運動や食事、睡眠など様々な対策を紹介してきましたが、どの段階においてもどれか一つではなく、様々な対策を組み合わせ、長期にわたり継続する姿勢が大切です。

 本人や家族だけでは負担も大きいため、認知症予防のしやすい地域づくりも、今後ますます重要になるでしょう。

【略歴】

浦上 克哉(うらかみ かつや)

1983年、鳥取大学医学部卒。同大学助手、講師を経て、2001年から教授。大学病院などに「もの忘れ外来」を設け、認知症の早期発見と予防に取り組む。日本認知症予防学会理事長。著書に「認知症&もの忘れはこれで9割防げる!」(三笠書房)などがある。

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