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スポーツDr.大関のケガを減らして笑顔を増やす

コラム

ジョギング中の人が倒れた! どうすればいい?~AEDと心肺蘇生の知識を持とう

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 寒い季節になってきました。学校では持久走が行われ、一般市民のマラソン大会も多い時期です。笹川スポーツ財団の調べでは、週に1回以上ジョギング・ランニングを実施する成人は467万人と推計されています。普段から体を動かすことは健康にいいはずですが、マラソン大会では時に、心肺蘇生が必要になるケースがあります。もちろん、これはマラソンに限らず、生活のあらゆる場面で起こりうることです。知っている方も多いと思いますが、心肺蘇生の基本についてお話しします。

 マラソン愛好家のケースです。

 35歳のMさんは、10年前から週末にランニングを行っています。これまで大きな病気はなく、健康診断でも特に異常を指摘されたことはありません。ある週末、街でランニングをしていたところ、急に胸が苦しくなり、道端に倒れ意識を失いました。周囲には複数の人がおり、急いで駆け寄ってきました。

呼吸がなければ「胸骨圧迫」

ジョギング中の人が倒れた! どうすればいい?~AEDと心肺蘇生の知識を持とう

 「心肺停止」は、あらゆるスポーツ中に起きる可能性がありますが、その主な原因は心筋梗塞や致死的な不整脈などです。通常の健康診断ではそのリスクが発見されないこともあり、若い選手が突然死することも時にあります。

 誰かが倒れた場面に居合わせた場合、まず行うべきことは、意識があるかどうか、そして呼吸があるかどうかの確認です。呼びかけても反応がなく、呼吸がなければ心肺停止と判断し、心肺蘇生のために「胸骨圧迫」を開始します。そして、周囲の人に救急要請を頼み、AED(自動体外式除細動器)を持ってきてもらうよう伝えます。

 胸骨圧迫は、以前は「心臓マッサージ」と呼ばれていました。胸の中央にある胸骨の下半分を、1分間に100~120回程度の速さで、胸が約5センチメートル程度沈むよう圧迫します。小児の場合は、胸の厚さの3分の1の深さが目安です。

しゃくりあげる呼吸は「死戦期呼吸」 蘇生が必要

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 ただ、呼吸の確認は判断が難しいことがあります。心停止直後の傷病者でしばしば見られる、しゃくりあげるような不規則な呼吸は「死戦期呼吸」と呼ばれます。この場合、胸と腹部の動きがあっても「呼吸なし」と判断し、心肺蘇生が必要です。小学校の駅伝の課外練習中に倒れて亡くなった事例では、死戦期呼吸だったにもかかわらず、AEDが使われませんでした。呼吸の仕方が異常に思われた場合、あるいはその判断に自信が持てない場合は心肺蘇生の適応と判断し、胸骨圧迫とAEDの使用に進むことが大切です。

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Ozeki-7-pro

大関信武(おおぜき のぶたけ)

整形外科医・博士(医学)
一般社団法人日本スポーツ医学検定機構代表理事

1976年大阪府生まれ、兵庫県立川西緑台高校卒業。
2002年滋賀医科大学を卒業。2014年横浜市立大学大学院修了。横浜市立大学付属病院、横浜南共済病院、関東学院大学ラグビー部チームドクター、英国アバディーン大学研究員などを経て、2015年より東京医科歯科大学再生医療研究センター所属。現在、東京医科歯科大学付属病院スポーツ医学診療センター、八王子スポーツ整形外科などで診療。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。野球、空手、ラグビーなどを通じて、野球肘、肩関節脱臼、足関節靱帯損傷、骨折(鼻骨、手首、下腿)など自身が豊富なケガの経験を持つ。スポーツのケガを減らしたいとの思いで、2015年12月一般社団法人日本スポーツ医学検定機構を設立し、「 スポーツ医学検定 」を開催している。

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