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医療・健康・介護のニュース・解説

がんの話をオープンに…患者インタビューを生配信 がんノート代表理事・岸田徹さん(下)

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死を意識し「やり残したことがある」

――そういう思いが、がん患者の声を広く発信する活動につながっていったのでしょうか。

 最初はブログで自分のがん経験を語っていたのですが、実はそのきっかけになった出来事があるんです。

 首と胸のがんを切除する手術の後、寝ていたら突然、息ができなくなりました。ナースコールを押すと看護師が来てくれたのですが、「鎮静剤を持ってきます」と言ってすぐ出て行ってしまいました。真っ暗な病室で一人きりになって、「僕、ここで死ぬんかな」なんてことを考えました。

 レントゲンで調べたら、肺に穴が開いていたみたいです。医師がすぐに処置をしてくれたおかげで事なきを得たのですが、その瞬間は死を間近に感じ、「やっぱり今死んだら、やり残したことがあるな」と思ったんです。

 自分はまだ、何も社会の役に立ててないし、同じようにがんで苦しむ人と励まし合いながら頑張っていきたい。そう考えて、まずはブログを開設して、自分の闘病体験をつづりました。

センシティブな情報が全くない日本

――その活動が、ネットでのがん患者のインタビュー配信に発展したのですね。

がんの話オープンに…患者インタビューを配信 がんノート代表理事・岸田徹さん(下)

 首と胸の後におなかの手術を受け、後遺症で射精障害になりました。治療に先立って精子を凍結保存していたものの、性機能が回復しないままだと、結婚しても自然妊娠は望めません。男性としてのアイデンティティーが揺らいだように感じられ、がんと宣告された時よりも大きなショックを受けました。

 今後どうなるのか不安でたまらないのに、当時の執刀医は「しばらく様子を見ましょう」としか言ってくれませんでした。必死で情報を集めましたが、日本では、性という極めて個人的でセンシティブなことがらについては、匿名でも発言する人はほとんどいません。ネットで情報を探し続けて、同じ障害が出た男性の奥さんのブログをやっと見つけたのです。

 すぐにメッセージを送りました。すると返信があり、その人の場合は「3か月くらいで自然に治った」というのです。真っ暗なトンネルの中で、一筋の光が差したような気がしました。

 「自分だけじゃない」ということや「明るい見通し」を知ることが希望になり、気持ちを奮い立たせてくれました。こういった患者側の情報を、いま悩んでいる方に届けたいという思いから、がん患者にインタビューしてネットで生配信する活動を2014年にスタートしました。

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