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がんの話をオープンに…患者インタビューを生配信 がんノート代表理事・岸田徹さん(下)

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 20代で2度もがんを経験したNPO法人がんノート代表理事の岸田徹さん。最近は、アフラックのテレビCMで人気グループ「嵐」の桜井翔さんと共演し、話題になりました。がん患者が安心して暮らせる社会について考える「がん医療フォーラム2018 がんを知り、がんと共に生きる社会へ」(公益財団法人正力厚生会主催、読売新聞社など後援)が12月2日、東京都内で開かれるのに先立ち、がんになってもいきいきと暮らせる社会をどうつくるか、自身の経験を交えて語ってもらいました。(インタビュー・飯田祐子、写真・山本淳一)

食事抜いて検査費を捻出

――岸田さんはIT関連のベンチャー企業で働いていたそうですが、治療の間、仕事はどうしていたのですか?

がんの話オープンに…患者インタビューを配信 がんノート代表理事・岸田徹さん(下)

 最初のがんでは、1年半ほど休職しました。動きの速い業界だけに、休んでいる間に社内の状況もすっかり変わっていて、同期や後輩がバリバリ活躍していました。復職後は営業から内勤の仕事に変えてもらい、半年ほどは定時に出社・退社していたのですが、「会社に恩返ししたい」という思いや「早くブランクを取り戻さなくては」という焦りを抱えていました。気持ちばかりが先走ってしまい、体がついてきてくれず、体調を崩して退職することになりました。

 少し療養した後、幸運なことに国立がん研究センターで広報の仕事に就くことができました。体調がまだ戻っていなかったため、週1~2日の勤務から始めさせてもらい、無理なくスタートすることができました。今も非常勤職員として、がんノート代表の仕事と並行して勤務を続けています。

――体調に波があって思うように働けないとなると、生活が心配ですね。

 休職中はもちろん職場復帰できても、有給を使い果たしてしまった場合、治療や検査で会社を休んで欠勤扱いになればそれだけ収入が減ります。体調や治療のことを考えて、例えば営業から事務に配置転換してもらったりすると、それだけで給料がぐっと下がる場合もあります。

 僕も、お金の悩みは大きかったです。社会人ですから安易に親を頼ることもできず、検査費用を捻出するために食事を抜いたことも度々ありました。様々な資金繰りの方法を考えましたが、最終的には家族や友人からお金を借りて、なんとか乗り切りました。

――十分な栄養がとれないのでは、体力の回復にも差し支えます。せっかく治療を頑張っても、それでは本末転倒のように思われます。

 若年層は収入が低くて貯金もないことが多いので、病気になるとたちまち困窮してしまいます。ところが金銭面では、公的な支援は多くありません。せめて民間の保険などで備えておけばよかったのですが、僕はあいにく入っていなかったので、すぐにお金の問題に直面してしまいました。

 治療のことは、医師が説明してくれますが、その他の生活全般に関わることは、当事者でないと分からない点も多いのです。どうやって仕事に復帰するのか、治療をしながら働くことはできるのか、お金の問題にどう対処したのか、といったことを経験者に聞きたくても、当時は、どこに行けばそういう情報が得られるのか分かりませんでした。

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