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「やる気」幼児期に伸ばすと将来の収入や学歴に好影響?…大阪府教育庁が着目

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「やる気」幼児期に伸ばすと将来の収入や学歴に好影響?…大阪府教育庁が着目

 大阪府教育庁が、やる気や自制心といった非認知能力を幼児期から伸ばす取り組みの導入を検討している。就学前に身につけたかが、将来の収入や学歴などに影響するという米国での調査があり、着目した。2019年度に研修プログラムを開発し、就学援助費の受給率が高く、全国学力テスト(学テ)でも低迷が続く大阪府の状況の改善を目指す。

 研修の対象には、乳幼児の保護者と関わることが多い保健師や幼稚園教諭、民生・児童委員らを想定している。非認知能力は、幼児期には親が子供の行動に関心を持ち、適切な反応を取ったり話しかけたりすることなどで育まれるとされる。能力を伸ばすことを意識した子供との接し方を幼稚園や家庭訪問で保護者に伝えてもらう。

 19年度に府教育庁が中心となって効果的な研修の方法やプログラム、教材を開発し、研修を担う人材を育成。20年度からモデル地区での実施を目指す。

 米国では、就学前の貧困層の子供に非認知能力を伸ばす教育を行った1960年代の政策の効果を追跡調査。教育を受けた層は受けなかった層に比べて、40歳時点で収入や持ち家比率が高く、生活保護の受給率は低かった。

 府教育庁の担当者は「子供の学習意欲が高まり、学校にきちんと通うなど好循環が生まれ、社会を生き抜く力をつけることにつながる」と期待している。

 大阪府は所得が一定以下の世帯に学用品費などが支給される就学援助費の受給率(2015年度)が23・67%と全国で2番目に高い。学テもほとんどの教科で正答率が全国平均を下回り、18年度は小学6年の国語や理科が都道府県で最下位となるなど低迷している。

 児童に学校の決まりを守っているか尋ねた学テの質問で、「当てはまる」と答えた割合は36・3%と、全国平均(43・8%)を大きく下回った。決まりを守ることは非認知能力の「自制心」が強いことを示す。この質問に「当てはまる」と答えた児童は、教科の正答率が高い傾向がみられた。

 酒井隆行・府教育長は「貧困問題を解消するため、教育の面から一石を投じたい」と話している。

 大竹文雄・大阪大教授(行動経済学)の話「米国の研究は、恵まれない子供たちへの未就学の段階での教育が最も費用対効果の高いことを示しており、行政が取り組む意義は大きい。効果を検証できる形で行い、全国のモデルとなってほしい」

          ◇

【非認知能力】  知能指数(IQ)や学力など、数量化して測る(認知する)ことができる能力に対して、粘り強く取り組む力や協調性、好奇心など数量化ができない力を指す。

 

学びの土台づくりにも…

 

 大阪府豊中市の私立せんりひじり幼稚園では、子供の主体性を伸ばそうと約10年前から非認知能力を意識した教育に取り組んでいる。

 「お祭りをやろう」「お化けの絵を貼って、お化け屋敷は?」。今月上旬、年長の園児が車座で、お店屋さんごっこで何をするか話し合っていた。司会も園児2人が担当し、教員は見守る。「そんなの難しい」と言う子がいて行き詰まると、「じゃあ何ならできるかな」と助け舟を出した。

 安達譲園長(57)は「自分たちで決めて行動することで自己肯定感が生まれ、非認知能力が伸びる。自然と様々なことに関心を持ち、結果的に認知能力も身につくので学びの土台となる」と話している。

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