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[読者と記者の日曜便]ダウン症児 習い事で成長

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 〈障害児の未来の幸せのためにと、活動する親たちのことを知ってください〉

 大阪府吹田市の 土師はじ 加津恵さん(68)は、初孫の才蔵君(10)がダウン症です。義理の娘で、才蔵君の母親の里美さん(43)が、ママ友と設立したダウン症児を支援する非営利組織(NPO)の活動が、お便りにつづられていました。

  ダウン症は、23対ある人体の染色体の21番目の異常で起こり、多くは知的発達の遅れを伴います。土師さんは、才蔵君がダウン症と分かった時の心境をこう振り返ります。

 「なぜうちの孫が、と。孫の身を案じて涙ばかりでした」

 周囲には「行いが悪いからだ」と心ない言葉を吐く人もいましたが、息子さんに「心配しても仕方ない。育てていく」と力強く言われ、「孫は私たち家族を選んでくれたんだ。愛情いっぱいに育てよう」と前向きになれたそうです。

 里美さんも「育て方がわからず暗黒でした」。でも、ほどなく参加したダウン症児の親の会が転機となりました。

 「この病院が良いよといった情報をいろいろ紹介してもらえて。年上のダウン症の子を見て、成長する様子もわかり、希望を感じました」

 一方で、里美さんたちは「壁」にぶつかります。「ダウン症の子が習い事をしたくても、教え方が分からないと断られることが多いです」

 ならば、自分たちで学びの場を作ろうと昨年5月、ママ友らでNPO「めばえ21」を設立し、大阪府箕面市を拠点にダウン症専門のデイサービスを始めました。

 書道や料理などのメニューを施設で組み、ダウン症児の特性に合わせて講師が1対1で教えるのです。里美さんも19年間勤めた広告制作会社を辞め、このNPOでアート教室の講師を務めています。

 現在、近畿一円から約90人の利用があり、才蔵君もピアノや書道を習っています。「最初はピアノの前で座ることも無理でしたが、今はじっと座って 鍵盤けんばん を触れるようになりました。本当に小さな一歩ですが、子供の成長を見られて毎日が楽しい」と、里美さんは笑顔で話されました。

 めばえ21は今月17日、様々な障害を持つ人らの交流イベントを箕面市の「箕面文化・交流センター」で午前10時~午後3時に開きます。専門医の講演や音楽療法の体験など盛りだくさんで、映画の上映会以外は無料です。詳細は、めばえ21のホームページまで。

 なお、「めばえ」は、障害児への、ある発達検査の評価で「合格」と「不合格」の間に設けられた「芽生え反応」から命名しているそうです。

 これは「何らかの配慮や工夫で『合格』になる」との意味です。配慮や工夫をする側の社会に根付いてほしい言葉です。(上地洋実)

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