がんを語る
医療・健康・介護のコラム
大腸がん(下) 外出時に気になる「トイレの場所」 再発や悪化の不安抱えつつも前向きに
抗がん剤で便が硬く 切れ痔で便器が真っ赤に
――山田さんもおなかの調子が悪いときはありますか。
山田(写真左) 抗がん剤をやっていると、私の場合は便が硬くなるんですよ。硬い便が出てくるから切れ痔状態。便器が真っ赤になっちゃうの。それぐらい血が出る。
私の場合、3週間おきに病院で抗がん剤の点滴を4時間ぐらいかけて打つんですね。それを今度は持ち帰るんですよ。ペットボトルみたいなものに入れて。48時間打ち続けるんですね。手術で体につけたポートにさして、2日後に自分で抜くわけです。
その間、吐き気だとか、ものすごい。私の場合は、考え事とかもできないし、しゃべっていても、ろれつが回らなくなったりして、血小板も少なくなります。そうすると血がとまらなくなる。血管が弱くなり、鼻血もだらだら出てくる。そんなのが2週間ぐらい続くかな。
3週目に検査すると、白血球、血小板、好中球、たんぱくとかの値ががくんと下がっちゃう。それを増やす薬を注射して1週間様子を見て、治療できる範囲に戻れば、また抗がん剤を打つ。
その繰り返しを3年間やっているのですが、便が硬くなって3日や4日は出ないんですよ。冬場は夜中に4、5回目が覚めてトイレに行きたくなるんですが、おしっこは出ない。便が硬くて出ていない状態だから、どっちも出ないんです。それがつらくて。
「100人に1人」の抗がん剤の効果 がんは横ばい状態を維持
――ただ、抗がん剤の効果は出ているんですね。
山田 肺に大きながんが1個、小さいのが無数にあり、リンパ節や横隔膜にもあるという状況。肺の手術の後、すぐに抗がん剤をやり始めて、この状況が横ばいなんですよ。ということは、今やっている抗がん剤が効いているという判断なのね。先生も、抗がん剤が効いているから、このまま続けたほうがいいという判断なんだけれども、「山田さんのケースは、もし100人同じ患者さんがいたら、こういう状態になるのは1人か2人」と言われたんです。
――つらいから治療を一時的にやめるということはできませんか。
山田 少し間隔をあけて休みましょうかというときがあったんですが、間隔を1か月半ぐらいに延ばしたら、やっぱりがんが多少大きくなってくる。
――仕事への影響はどうですか。
山田 兄弟で建築業をやっているんですが、今はとてもじゃないけれども現場に出られないので、うちでパソコンで見積もりをやったりとか、設計みたいなものをやったりしています。今年の夏場なんかすごく暑くて、外へ一歩出るとふらふらするんです。体がおかしくなっちゃって。認知症の症状みたいでした。先生に「俺、認知症になったかもしれない」と言ったんです。医師からは「大丈夫」と言われてますが、物忘れとか、すごいんです。あした病院に行くんですけれども、今ちょうど3週目なのね。それで何とか、このぐらいしゃべれる程度に回復しましたけれども。
清水 今が一番楽なときですよね。
山田 そう。1週間ぐらい前は本当にろれつが回らないし、何を言っていいかわからないし、考えがまとまらないです。このまま続けていいのかなとも思います。
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トイレを企業や政治家に利益と思わせる為に
寺田次郎 六甲学院放射線科不名誉享受
書きっぱなしも何ですから少し考えていました。 トイレの問題は健常者も深刻です。 理由は一部の都市における人口密度と観光客が大幅に増加しているから...
書きっぱなしも何ですから少し考えていました。
トイレの問題は健常者も深刻です。
理由は一部の都市における人口密度と観光客が大幅に増加しているからです。
関西圏で列車にトイレがあるのはJRと新幹線だけです。
腹痛での下車やトイレの混雑を考えれば、本文のようにラッシュを避けるか住居と職場を近づけて出張の少ない職場にするしかありません。
また、もはや半分インフラと化したコンビニや24時間スーパーなどの役割も大きくなってくるでしょう。
労働者の制約条件に対するインフラの有無は、仕事の量も含めて都心部への人口集中をますます加速させるでしょう。
逆に言えば患者サイドなりマスコミからすればこういう悩みを悩みとして露出するだけでなく改善案として経団連や政治団体に提出することによって、地方の企業や政治家を味方につけることも可能になってきます。
建前として「患者さんのために」「お客様のために」を口にする方は大勢おられますが実利がなくてはなかなか動かないのが社会です。
しかし、一定数の悩みを持った人間の悩みと解決策としての具体案を提示されれば手を挙げる企業や団体も増えるのではないでしょうか。
大企業ばかり儲けているという民衆の批判は、大企業がその利益を社会インフラなどに還元してくれればある程度おさまりますし、一定のマーケットが見込める状態であれば様々な経費や広告的な意味合いを持ってくるからです。
僕自身も膝を怪我してから和式トイレを避けるようになりました。
また、多機能トイレの広い空間は普通のトイレより落ち着くと分かりました。
ストーマや車いすの方からすれば欠くべからざる作業空間なのでしょうが人によって立場によって見え方や感じ方は変わります。
都心の人混みや企業のハードワークの中で、トイレはまた人目を避けて休憩できる場所でもあります。
またコンビニはトイレを集客ツールにしてますね。
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ベターな医療の普及政策と白い巨塔との共闘
寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受
医師の使命として、臨床、研究、教育の3本柱を挙げる人は多いですが、それが現実の普及政策として不十分であることが、対談から分かります。 昨今の検査...
医師の使命として、臨床、研究、教育の3本柱を挙げる人は多いですが、それが現実の普及政策として不十分であることが、対談から分かります。
昨今の検査や治療の進歩は著しいですが、それでもわからないものは分からないし、治せないものは治せません。
しかし、心身のキュアとケアの軸に多様性を持たせれば介入できないものはかなり減っていると思います。
けれども、一般医師やコメディカルがどのようにユーザーである一般患者に診断治療のオプションや社会保障も含めてベターな医療を伝えるかの視点はまだまだ不十分です。
白い巨塔という有名な作品がありますが、閉鎖的な病院や大学という組織と市民を適切につなぐ仕組みや組織が不十分なせいもあるでしょう。
その事に対して、市民やマスコミ側からも動きがないと、いつまでたってもお互いが無駄な不利益を受けるのではないかと思います。
僕は健康診断や一般内科にしか従事しておりませんが、今でも放射線科や循環器その他の内科外科の学会で最先端の画像診断や血管内治療を学んでいますので、そのへんのギャップや人間的問題はよくわかります。
多くの現場の医師もよくて自分の科の最先端の技術しか知らない縦割り行政の中で過重労働していますので、他のオプションを提示するのが難しい。
結局、最終的に利益を得る、患者の互助組合や企業がタッグを組んで、それを臨床や研究に値する仕事と医師に認知させるのがいいと思います。
単なる癌のストーマ患者ではなく、急性腹症の一つの癌手術後のストーマや軟便・下痢というくくりで見れば、過敏性腸症候群や急性膵炎の患者さんと悩みや医療にインフラを共有できると思います。
患者同士や医師患者関係を対立項として捉える人もおり、それは事実の一部でもありますが、仮想敵や戦場を変えてやれば味方にもなります。
いままだ大きな病気を持たない人にも訴えかけられる言葉もあればと思います。
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