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知りたい人には知ってほしい画像診断の裏表

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

実の親(非医師)から「信頼のおける医師とは」とかよく説教メールが来ます。
勿論、親族やその知人の癌でもわざわざ存在を知らせたうえで相談はしません。

彼らは学会や研究会で有名な診断医や指導医、教授とも真面目に議論し、意外とみんな気づかない病変や読み筋を拾う僕を知らないので、肩書でしか判断できません。
とはいえ、これが一般的な社会的評価です。
「専門医や博士号は指標であって絶対ではない。偉い人にはそれがわからんのですよ」とかツッコみたくもなりますが、肩書がないだけに信じてくれる人のためにも標準医療や先進医療の裏表も含めて勉強しています。

さて、今回の話の中で目につくのは社会制度のルーチンで発見されなかった癌の事です。
今の標準であるバリウムや内視鏡の検査は消化管外の検出が弱く、胸部レントゲンやマンモグラフィはCTやMRIなどの3次元の画像に比べれば、やはり病変の検出が難しい。
PET-CTも、CTやMRIをゆっくり読めば発見できる多くの病変に関していえば、無用なコストと被ばくですが、読影医不足と過重労働の現実の中で、微細な病変を多くの医師が発見しやすい利点があります。
そして、本文でもありますが、転移巣や転移リンパ節の方が発見しやすい症例も時々目にします。
偉そうに書いてますが、僕が見落としをしないわけではなく、見落としをする自分や機械の弱点を知って対策を持っているだけの事です。
健診でも50歳以上の方や有症状の方の高度検査を推奨しています。

今回はがんがテーマですが、癌だけでなく、よくある疾患の典型的なケースの処理ミスで保険診療による寿命や健康寿命の延長、緩和治療の恩恵を受けられないのはもったいないです。
自分だけは大丈夫、うちの地域は大丈夫、そういう気持ちももちろん大切ですが、一方で、検査の性質や自分も他人もミスを犯し得る存在と知ることがより良い医療を受けるコツです。

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